夏期の来訪者数が年々増加する長野県白馬エリア、その背景と、インバウンド誘客への次の一手を取材した
さまざまなアイデアでインバウンド誘客
星野氏によると、グリーンシーズンの白馬マウンテンハーバーへの来場者は、長野県内からが約半数、首都圏から約3割、残りが関西、東海、北陸からだという。そのなかで、「最近、東南アジアからの来場者が増えてきた」と明かす。 HAKUBA VALLEY TOURISMによると、2023年のインバウンド来訪者は、大町市で2019年の7500人から1万860人、白馬村は2960人から5240人、小谷村が360人から1450人に増加。実数はまだ少ないものの、着実に増えている。 事務局長の中川友生氏は「最大のマーケットは台湾。台湾を含め香港、韓国、タイを『稼ぎ頭』と位置付ける一方、シンガポール、中国、欧米豪を成長市場と捉え、プロモーション活動を展開している」と説明する。HAKUBA VALLEY TOURISMは、ターゲット市場での商談会に積極的に出展するほか、ファムトリップも実施。SNSでは「HAKUKBA VALLEY八景」や「塩の道」などの広告配信などで訴求を強めながら、広域周遊コンテンツを造成していくという。さらに、今後は地域の事業者や生産者との協業でガストロノミーツーリズムにも力を入れていく考えだ。 一方、白馬村観光局では、台湾や東南アジアを中心に、グリーンシーズンでの山小屋体験を提案していく計画。福島氏は「山小屋はアジアからのインバウンドにとってはユニークな体験。山に登って、下界から隔絶された世界に滞在しながらも、生ビールが飲める、温かい食事が味わえる、快適な布団で寝れる、といった体験を楽しんでもらいたい」と話す。 白馬村最大の山小屋「白馬館」もインバウンドの受け入れを進めており、昨年は宿泊者全体の5%が外国人だったという。 このほか、サーキュラーエコノミーを考える「グリーンワーク白馬」などSDGs関連のイベントにも積極的に取り組んでいることから、国内外からの教育旅行の誘致にも期待をかける。 HAKUBA VALLEY TOURISMの高梨氏は、「日本のインバウンド市場全体でいうと、冬よりも夏の方が来ている。その需要を白馬を含めた3市村にも引っ張ってくる」と、グリーンシーズンでのインバウンド市場拡大に意欲を示した。