夏期の来訪者数が年々増加する長野県白馬エリア、その背景と、インバウンド誘客への次の一手を取材した
広域で白馬エリアへの誘客を
白馬エリアでは、グリーンシーズンの集客拡大に向けて、さまざま取り組みが進められている。HAKUBA VALLEY TOURISMでは、大町市、白馬村、小谷村それぞれで風光明媚な景観8カ所を「HAKUBA VALLEY八景」として選定。オールシーズン楽しめるエリアとして、国内外で周遊を促す仕掛けを進めている。 白馬村観光局の福島氏は、異なる視点からグリーンシーズンの活性化を考えている。「地元の人たちの趣味を土台として造られる観光コンテンツは強い」と話す。例えば、マウンテンバイク。白馬には、マウンテンバイククラブが複数あり、体育として取り入れている学校もあるという。マウンテンバイクが白馬の夏の文化としてさらに地域に根付けば、その地域文化に共鳴して訪れる人も増える。「遠回りに見えて、実は一番効果的のように思える」と福島氏。青木湖でのサップや姫川でのラフティングも、地元で楽しむ人が増えれば、観光コンテンツとしての価値はさらに上がるとの考えだ。 また、グリーンシーズンの集客に向けては、他エリアとの協業にも積極的だ。岩岳リゾートは昨年、黒部ダムと立山黒部アルペンルートを運営する立山黒部貫光と観光客誘致に向けた協定を結んだ。北陸から黒部ダム、扇沢を抜けて信濃大町に抜けるルートから白馬に観光客を呼び込む。岩岳リゾートの星野氏は「特にインバウンドを呼び込むためには、面で呼び込む必要がある」と話す。さらに、開業が延期になっているものの「黒部宇奈月キャニオンル一ト」の一般開放への期待も大きい。 面的な誘致策は白馬エリア内でも模索が続いている。夏山営業を行なっているスキー場は、岩岳のほか、八方尾根、白馬五竜、栂池があるが、八方尾根には八方池に向かうトレッキングコース、白馬五竜には「白馬五竜高山植物園」、栂池には「栂池自然園」や「白馬つがいけWOW!」など、それぞれ特徴がある。HAKUBA VALLEY TOURISM代表理事の高梨光氏は「それぞれを周遊できる共通リフト券を考えていきたい」と意欲を示す。すでに冬のスキーヤー向けには共通リフト券を販売しているが、それをグリーンシーズンでも展開し、できる限り来訪者の滞在時間を伸ばしていきたい考えだ。