夏期の来訪者数が年々増加する長野県白馬エリア、その背景と、インバウンド誘客への次の一手を取材した
集客を牽引する岩岳リゾート
白馬エリアでのグリーンシーズンの集客を牽引しているのが岩岳リゾートだ。同社が運営する「白馬岩岳マウンテンリゾート」では、2023年/2024年シーズンの来場者数は、冬季(2023年12月15日~2024年3月24日)も含めて、過去最多の36万9000人を達成した。 そのうち、夏季(2023年4月28日~11月12日)の来場者数は22万2000人と冬季の14万7000人を超えた。この傾向は、コロナ禍の2019年/2020年シーズンから続いており、年々夏季の割合が増えている。 2024年ゴールデンウィーク期間中の来場者は約2万1500人。前年を約10%上回り、3年連続で過去最多を更新した。 岩岳リゾートでは、「世界⽔準のオールシーズンマウンテンリゾート」を目指して、グリーンシーズンでの集客に向けて様々な手を打ってきた。2018年には絶景テラス&カフェ「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(⽩⾺マウンテンハーバー)」の開業。「Iwatake Green Park(岩岳グリーンパーク)」や「ヤッホー!スウィング presented by にゃんこ⼤戦争」、展望エリア「⽩⾺ヒトトキノモリ」、超巨⼤ブランコ「⽩⾺ジャイアントスウィング」など立て続けにグリーンシーズン向けのアクティビティを打ち出している。 また、毎年5月にはイベント「HAKUBA ヤッホー!FESTIVAL」も開催。音楽ライブのほか、様々な体験を提供し、初夏の岩岳を1日中遊べる仕掛けもつくっている。このイベントにはアルピコ交通も協力し、長野駅から臨時便を運行している。 2023年12月に岩岳リゾートの社長に就任した星野裕二氏は「前社長が進めてきた攻めの施策が実を結んでいる。昨年から続く夏季の勢いは感じている」と胸を張る。 アルピコ交通の上嶋氏も「過去10年ほどで、岩岳では新しいコンテンツがどんどん出てきた。その効果は大きい」と話す。アルピコ交通は、その需要拡大に合わせて、新たなバス停「白馬岩岳マウンテンリゾート」を、ゴンドラ乗り場のロータリーに設置した。 岩岳リゾートのオールシーズン化の取り組みによって、来場する客層にも変化が出ている。岩岳リゾートの星野氏は、来場者について「全年齢層に広がっている。特にファミリーやカップルが増えている」と話す。上嶋氏も「グリーンシーズンの観光客は間違いなく若返っている。雰囲気が変わった」と驚きを隠さない。「パンプスを履いた女性でも楽しめる白馬マウンテンハーバー」(福島氏)は、夏山のハードルを劇的に下げた。