F1レッドブル・ホンダのモナコGP優勝の背景…なぜ29年ぶりVを果たせたのか
ホンダが29年ぶりにモナコGPを制した。 第5戦モナコGPの決勝レースが5月23日に行われ、ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルのマックス・フェルスタッペン(23)が優勝した。 F1モナコGPは、ル・マン24時間レース(開催地フランス)、インディアナポリス500マイルレース(開催地アメリカ)と並ぶ世界三大自動車レースの一つ。「モナコでの1勝は、3勝分の価値がある」とも言われ、シーズン中、最も注目が集まるレースとなる。 そのモナコでホンダが29年ぶりに優勝できた要因は、3つある。そのひとつは、ドライバーだ。 80年代後半から90年代前半にかけて、モナコGPで6勝を挙げたホンダ。そのうち、5回がアイルトン・セナとともに勝ち取った勝利だった。セナはホンダが撤退した直後の1993年にもフォード・エンジンを搭載したマクラーレンで優勝し、通算6勝を挙げている。モナコGP通算6勝は、いまだに破られていない大記録だ。 モナコのコースは、ガードレールに囲まれ、しかも狭く曲がりくねった公道を走るため、ドライバーにいつも以上に正確なドライビング技術と高い集中力が求められる。セナがドライブするF1マシンはスムーズで、その走りは芸術の域に達していた。 そのモナコGPで今年優勝候補に挙げられていたのが、現役最強と言われる7冠王者のルイス・ハミルトン(36、メルセデス)と若き挑戦者のフェルスタッペンだった。フェルスタッペンがホンダのパワーユニットを走らせるのは3年目。1年目はまだホンダのパワーユニットはメルセデスに及びもつかなかった。昨年はモナコGPが新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。3年目の今年はホンダも新しいパワーユニットを投入し、万全の態勢で臨んだ伝統の一戦だった。 2つ目は、ホンダ・エンジンのドライバビリティの高さだ。アクセルを全開にする時間がほかのサーキットでは約7割あるが、狭く曲がりくねったモナコでは5割を切る。そうなると重要なのが、ピークパワー(そのエンジンが発揮できるもっとも大きな力=最高出力)ではなく、低速から中速域でのエンジンの反応の良さ、つまりドライバビリティとなる。 80年代から90年代にかけて、ホンダがF1界を席巻していたのは、エンジンが強力だったことはもちろんだが、ドライバビリティにも優れていたからだった。ホンダ・エンジンのドライバビリティの高さは2015年に復帰して以降も同様で、復帰後、初入賞したのもこのモナコだった。