衝撃F1デビュー角田裕毅の可能性と課題
F1開幕戦「バーレーンGP」( 3月28 ―29日)で7年ぶりの日本人F1ドライバーとして参戦した角田裕毅(20、アルファタウリ・ホンダ)が9位入賞を果たした。これまでF1に出走した日本人で入賞したドライバーは7人いるが、その中で初レースで入賞したドライバーはいなかった。日本人以外でも、デビュー戦でいきなり入賞したドライバーはなかなかおらず、最近では2015年のフェリペ・ナッセ( ウイリアムズ) 、カルロス・サインツ( トロロッソ) 以来6年ぶりのことだった。それだけでこの入賞の価値がわかる。 角田は、ホンダが育成したドライバーであると同時に、レッドブル・ジュニア・チームの一員でもある。そのレッドブル・ホンダでモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは次のように角田の可能性を語る。 「表彰台はほかのチームがどんな開発をしてくるかと、レースの状況次第だが、角田にはそのポテンシャルがあることは間違いない。長期的には優勝する可能性もある。彼はヨーロッパに来て、1年でF3で勝ち、その次の年にF2でも勝ったんだから、間違いなくF1でも勝つだろう。まだ20歳だからね」 マルコが期待を膨らませるのも無理はない。近年のF1チャンピオンたちの多くが、デビュー戦で早くもその才能を開花させていたからだ。 現役王者のルイス・ハミルトン( メルセデス)は2007年の開幕戦で3位表彰台という鮮烈なデビューを果たし、2010年から4連覇したセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)も 2007年に、負傷欠場したドライバーの代役として出場した2007年のアメリカGPでいきなり8位入賞を飾った。そのほか、2016年チャンピオンであるニコ・ロズベルグは 2006年の開幕戦バーレーンGPで7位に入賞。2007年の王者であるキミ・ライコネン(アルファロメオ)は 2001年の開幕戦で6位入賞している。 したがって、角田には今後、日本人が3度達成している表彰台(鈴木亜久里・1990年 、佐藤琢磨・2004年 、小林可夢偉・2012年 )の獲得だけでなく、日本人最高位となる2位以上、そして将来的にはタイトル争いも期待したい。そのためには、勝てるチームであるトップチームへできるだけ早く移籍することが求められる。 ターゲットはレッドブル・ホンダだ。 マルコは角田がレッドブル・ホンダへ移籍するための条件として、「(現在所属しているアルファタウリで)表彰台に上がること」だと語っている。角田が表彰台に上がる条件として、マルコは前述のように「チームがどんな開発をしてくるか」と「レースの状況次第」の2点を挙げていた。