エキシビションでも「LEGEND」対戦カードが面白い!元K-1王者vs元世界王者に異例の五輪代表vs現役プロの3対3対抗戦
コアなボクシングファン目線で見れば、この3カードで最も興味深いのは、セオンと佐々木の対戦だ。日本ユース王者の佐々木は、10勝無敗9KOの若きKOパンチャーで一方のセオンはアマチュア界で世界屈指のスピードを持ち、ヒット&アウェーを徹底する対照的なボクシングスタイルだ。もし勝敗をつければ白黒がハッキリと出そうな組み合わせなのである。セオンは「どうせやるなら強く有名で勢いある選手とやらせていただきたい」と語っていた。佐々木は、有名ではないが、昨年末に伊藤雅雪対三代大訓のライト級ウォーズの前座で行われた日本スーパーライト級ユース王座決定戦で石脇麻生(寝屋川石田)を3回TKOで倒しタイトルを獲得しており勢いはある。粗削りだが、そのパンチ力は非凡だ。 19歳の佐々木は会見でも威勢がよかった。 「岡澤セオン選手は、すごく上手くて強い選手の印象があるがプロの意地を見せたい。ボコボコにしてやろうかなと。ダウンをとってやるくらいの気持ちで挑んでいきたい」 今回のプロアマ対抗戦の実現を働きかけたアマの日本ボクシング連盟の内田貞信会長は「プロとアマのどっちが強いのか」と参戦テーマを語っていたが、佐々木は、アマ王者の返り討ちを宣言した。 14オンスのグローブで、アマ側はヘッドギアを着用するためダウンシーンは期待薄だが、あまりにダメージが酷ければスパーリングとはいえレフェリーが試合を途中でストップし事実上のTKO決着となる可能性もある。 加えて、まだ無名の佐々木には、「少しでもいいパフォーマンスをして名前を知ってもらえる試合をしたい」とのモチベーションもある。 ただ3分×3ラウンドのアマルールならばセオンのスピードについていけず、倒したいとの前のめりの姿勢が空回りに終わる危険性もある。「佐々木のパンチはセオンには当たらないのでは?」と予想するボクシング関係者も少なくない。それでも、佐々木は「アマ有利と言われるが早いテンポでも大丈夫。何も気にしていない」とそれらのプロ不利説を一蹴した。 入場者全員にPCR検査を義務づける今回のイベントは観客の入場人数の上限を5000人に制限するが、主催者の説明によると、まだチケットは「1、2割しか売れていない」という。 緊急事態宣言が延長された状況に加えPCR検査費込みとはいえど、チケットはリングサイドが10万円で一番安い席でも1万5000円と世界戦並みに高価で、まだメインの井上尚弥のカードが発表されていないことも影響しているのだろう。 主催者側は、会場に来られないファンが多いことを見越してAbemaTV、USENを使った有料のインターネット放送を決定した。 井上尚弥の相手は、KO記録を作ったことのある元世界王者で、そう遠くない未来にバンタム級で対戦の可能性のある現役の地域王者。早ければ今日4日にも公式サイト上にて正式発表される。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)