夫が不倫して逃亡、子どもはがんに…押し寄せる試練も「救いの手」受け取らず 衝撃受けた日本のシングルマザーの過酷な実態
「ミサイルをたくさん買っている国なのに貧困」 “経済大国”日本への違和感
日本は近年、経済が低迷していると言われても、世界をリードする経済大国の一つです。しかし、シングルマザーの問題を調べていくうちに、マカヴォイ監督は大きなギャップ、違和感を抱くようになります。 「この映画を撮る前は、20年住んでいた自分はまさか日本に貧困はないでしょうと思っていたんですよ。だから隠れている貧困ということだと思います。アフリカとは全然違う貧困で、目の前で分かるものではないんですよね。電車の中で目の前に座っている学生さんも、もしかして食事を食べていないかもしれない。でも、GAPの2000円のセーターを着ているから貧困かどうか分からないんですよね。G7(先進7か国)の国なのに、ミサイルをたくさん買っている国なのに貧困。それが見えないから、より深刻だという思いはあります」 映画に制作費はなく、インタビューから映像の編集作業まで実質1人でこなしました。 「予算がゼロだったので、完成まで2年ぐらいかかったんですけど、仕事やりながらやったという感じです。時間がある時にインタビューを撮って、時間がある時に編集して。2022年の最後の3か月は全部仕事を辞めて、この作業だけにしたんです。どうしても終わりにしたくて、完成したくて」 映画は予想以上の反響を呼びました。「1日10人ぐらい入ってくれればいいかな」「赤字になってもとにかく広めていきたい」と話していたところが、まさかの連日満席。英訳も入るため、海外から見に来た客もいました。 「驚きましたね。ドキュメンタリーはなかなか映画館で上映するのが難しいです。本当にニッチな映画ですし、特に社会課題のドキュメンタリーなので。でも、まさか満席。毎日満席というのはたぶん映画館もびっくりしたと思います」とマカヴォイ監督。 『取り残された人々~』はシリーズ化する予定で、第二弾は「子どもの自殺」をテーマに撮影を開始しています。
Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・水沼一夫