インフルやマイコプラズマ肺炎の患者激増…薬が手に入らない…重症化させないために今すぐすべきこと
感染症徹底対策①
インフルエンザが昨年12月から激増している。さらに、咳止めや抗生物質などの処方薬が不足。薬局によっては薬の入荷待ちの患者もいる。感染症対策のために知っておくべきことを取り上げる。 感染者数が昨年の2倍に急増中…「マイコプラズマ肺炎」にご用心 「インフルエンザの患者さんが本当に多い。同じく感染症のマイコプラズマ肺炎も増えている。症状が重く、検査をすると肺炎を起こしている患者さんもいます」 こう言うのは、立川パークスクリニック(東京)の久住英二院長だ。今シーズンのインフルエンザ感染者の急増化、そして重症化する傾向にある理由として、次のように述べる。 「ひとつは、ワクチンへの抵抗感から、打っていない人が少なくない。年末年始で人と会う機会が増えると、どうしても感染リスクが高くなる。もうひとつは、コロナの流行で何年もインフルエンザウイルスに自然暴露されてこず、免疫増強効果を得る機会がなかった。そのため、発症すると重症化しやすいのではないか。これは一昨年に続いての傾向です」(久住院長=以下同) インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、そしてコロナの3つの感染爆発を示す造語「トリプルデミック」という言葉を耳にしたことがある人もいるだろう。2024年.25年は最大9連休。帰省や旅行の影響で、今後、トリプルデミックが深刻化することは十分に考えられる。 急な発熱、喉の痛み、全身倦怠感、関節の痛みなどインフルエンザを疑う症状が出たら、速やかに受診すべきだ。 「高齢者では肺炎へと移行し、集中治療室へ行かねばならないほど重症化するリスクがあります。高齢者では命を守るために、それ以外の世代では重症化リスクの高い人に感染させないために、クリニックで検査や治療を受けるべきです」 インフルエンザに使う薬であるタミフルやゾフルーザ、リレンザやイナビルなどは、症状が現れてから12~48時間以内に使うと症状の悪化を防いだり、改善が早くなるとされている。 「早ければ早いほどいい。しかし、48時間を過ぎたから効かないというわけではありません。発熱が続いているようなら薬を使った方がいい」 ■レントゲン検査が必須なケースも 同時流行のマイコプラズマ肺炎の場合、抗菌薬でも、マイコプラズマ肺炎に効く薬を使わなければならない。 他の感染症と同様、マイコプラズマ肺炎も高齢者で重症化しやすいので、高齢者ではインフルエンザなのかマイコプラズマ肺炎なのか、あるいは2つを併発しているのか、レントゲン検査が必須だ。 ただし、前述の通り薬が不足しているため、種類によってはすぐに手に入らないこともありうる。これまで以上に自分でできる対策に力を入れるべきだ。日常的には手洗いの徹底と、人が密集する屋内でのマスク着用。中長期の予防策として久住院長は「慢性炎症を起こさない生活を送る」ことを挙げる。 「体内で慢性的に炎症が起こっていると、免疫システムの働きが狂ってしまうことが明らかになっています。慢性炎症は体内で長時間続くレベルの低い炎症で、糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性腎臓病といった病気、腸内環境悪化、肥満、運動不足、睡眠不足、疲労などで引き起こされます」 糖尿病などの基礎疾患があれば、その治療をしっかりと受ける。生活習慣を改善し、食生活では腸内環境を整える食物繊維、疲労回復に役立つビタミンB群、免疫細胞の原料となるタンパク質を意識して取る。 「昨年、タウリンが細胞の老化抑制や免疫機能改善のはたらきをしていると示唆される論文が、世界的に権威のある学術誌ネイチャーに掲載されました。感染症にかかった際の疲労などの症状を抑制する効果がタウリンにあると示す研究もあります。タウリンは牡蠣やイカ、タコなどに豊富なので、積極的に取るのも手です」 なお、インフルエンザの患者を連日診ている久住院長は免疫力維持のため、睡眠時間の確保と定期的な運動を心がけているという。