通天閣に「朝が来る」 中間展望台の「明けない夜はない」メッセージ12日で掲示終了へ 3年にわたり新世界を勇気づける
国の登録有形文化財で大阪を代表する観光スポットとして親しまれている通天閣(大阪市浪速区)は8日、公式ツイッターで中間展望台の大窓に掲げている「明けない夜はない」「マスクの下は笑顔で!」というメッセージの掲出を12日で終了すると発表した。新型コロナウイルス対策として定着していたマスクの着用が今月13日から個人の判断に委ねられることを受けてのことで、約3年近くにわたり、大阪・新世界を勇気づけてきたメッセージは役割を終える。 【動画】通天閣に全長60メートルの滑り台「タワースライダー」誕生。記者がカメラ片手に滑ってみた
この大窓へのメッセージは、2020年5月1日に通天閣を運営する通天閣観光の高井隆光社長のアイデアで掲げられた。 コロナ禍前までは、最低でも一日平均3000人の入場者数があった通天閣だが、同年4月7日に政府が緊急事態宣言を出して以降、入場者数は激減。同8日には一日30人という最低入場者数を記録したことや、新世界で営業している店も少なくなっていた状況から、同9日から臨時休業に至った。
そうした状況の中、高井社長は街を歩いている人の表情がマスクで見えないが、笑顔でいてくれたらうれしいと大窓でのメッセージ掲出を決めた。 当時、高井社長は「だれにも見てもらえないかもしれません。けど、こうしてマスコミのみなさんに取り上げていただけたら、SNSなどを通じて広まるかなと思いまして掲示しました」と話していた。窓の大きさはタテ約2メートル、ヨコ1メートルの大きさで、通天閣観光の社員らが手作業で掲示した。 メッセージ掲示後は、多くの人がツイッターなどのSNSで投稿したり、2021年5月には、人気番組「ごぶごぶ」で新世界を特集していた回では、ダウンタウンの浜田雅功さんが、このメッセージを読む場面もあった。
大阪府は2月24日に新型コロナウイルスの感染状況を示す独自の自粛要請基準「大阪モデル」を、警戒を示す「黄信号」から警戒解除の「緑信号」へ引き下げた。 そして、基本的な感染防止策の要請は継続するが、マスク着用については政府方針に基づき、今月13日から個人判断を基本とすることとなった。 これを受け、通天閣は大窓のメッセージ掲示を終了することとなるが、公式ツイッターでは「通天閣に朝が訪れようとしております」と投稿されていた。 通天閣が立地する新世界で、このメッセージを毎日見ながら励まされていたという観光人力車「俥天力(しゃてんりき)」を運営する國領翔太さんは、今回のメッセージ掲示終了を知ると「ほんまですか。じゃあ夜が明けるんですね」と笑顔で話していた。