塾帰りに刺殺された女子生徒、受験シーズンの学習現場に波紋…外食禁止や見守り強化
北九州市小倉南区のファストフード店で中3男女が男に殺傷された事件で、亡くなった女子生徒(15)は塾帰りだった。事件後、周辺の学習塾は、事前に用意した食事を塾内で食べるよう求めたり、帰宅時の警備を強化したりするなど新たな安全対策を始めた。26日で容疑者逮捕から1週間。受験シーズンを控えた学習現場に余波が広がっている。(小川晶弘、美根京子) 【写真】「人相が変わった。別人だ」…送検のため、小倉南署を出る平原政徳容疑者
逮捕1週間
24日夕、事件現場に近い九大進学ゼミ徳力校。冬期講座の初日を終えた中学3年生約50人が続々と帰途に就いた。2人の講師が教室の外まで出て、「さようなら」と声をかけながら見守っていた。これまでは授業後の質問への対応を優先してきたが、質問がある生徒には教室に残ってもらい、帰る生徒を見届けてから応じることにしたという。
事件後5日間は容疑者逮捕に至らず、約1週間はオンラインの授業に切り替えた。区内の無職平原(ひらばる)政徳容疑者(43)が19日に逮捕されると、23日に通常授業に戻し、併せて生徒の安全対策を強化した。
授業中、出入り口は来校や帰宅の時間が異なるため開けていたが、複数の保護者から「無施錠は不安」との声が上がり、施錠することにした。食事は自宅に戻るか、塾内で食べることを徹底し、途中で店に買いに行ったり、食べに行ったりすることを禁止とした。塾長の佐多博隆さん(49)は「対面授業は生徒に伝わる熱量が違う。継続するためにもできる限りの対策を続けたい」と語った。
区内の別の学習塾も事件後、食事のための外出禁止の措置を講じた。「見張りを増やし、明るい時間でも子どもたちを講師が出迎えるようにした」「防犯カメラの設置を検討している」という塾もある。
帰り道関与できず
塾帰りの子どもが狙われる事件は過去にもあった。2006年、兵庫県たつの市の路上で小学4年の女児が男に刃物で刺され重傷を負った。12年には広島市で男が小学6年の女児を旅行かばんに押し込め、連れ去る事件も起きた。