外食産業、売り上げ9割減も 各社模索、どうなる今後?【#コロナとどう暮らす】
「引き続き壊滅的な状況となった……」 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や休業によって外食産業は4月、5月と大きな影響を受け、一部業態は業界団体の調査で上記のような表現をされるに至りました。自粛解除後も各店舗では感染拡大防止のため、客席を減らしてソーシャルディスタンスを確保するなど「間引き営業」が行われており、客数を思うように増やせない状況です。Yahoo!ニュースのコメント欄には、「しばらくは飲食店なんか行く気にならない」「コロナ前と同じような客入りなんて絶対無理」などの声が寄せられています。一方、コロナ禍にあっても売り上げが前年同期比を上回る「勝ち組」の業態もあります。ウィズコロナ時代の外食産業は、どうなっていくのでしょうか。
業態によっては売り上げ9割減
「新しい生活様式ということで自宅での飲食が増え、人々の気持ちが外食から離れていってしまわないか心配です」 こう話すのは、外食チェーンの業界団体である日本フードサービス協会の事務局の担当者です。同協会が会員企業を対象に毎月行っている市場動向調査によると、4月の外食全体の売り上げは前年同月比で4割減の60.4%となり、調査を始めた1994年1月以降、最大の下げ幅となりました。 中でも、落ち込みが激しいのが「パブ・居酒屋」で、4月(8.6%)、5月(10.0%)と2か月続けて前年比9割減となりました。他にも、ディナーレストランが4月(16.0%)、5月(28.5%)、ファミリーレストランも4月(40.9%)、5月(50.6%)など軒並み大きく落ち込みました。
国が緊急事態宣言を発した後、外食業界は都道府県からの要請を受けて店舗の臨時休業や営業時間の短縮を実施。市民の外出自粛も加わって来店客数が大幅に減少し、売り上げに大きなダメージを与えたのです。
店舗を大量閉店する企業も
厳しい環境下で、店舗数の縮小を決断する動きも出ています。全国に居酒屋「甘太郎」や焼き肉店「牛角」などを展開するコロワイドは5月22日、居酒屋を中心に収益改善が厳しいと判断した196店舗を閉店すると発表しました。広報担当によると、196店舗は9月までに順次閉めていく予定です。 国の緊急事態宣言を受け、同社は全国に展開する居酒屋約600店舗の9割強にあたる約550店舗、レストランは約1800店舗中の4割強の約740店舗で臨時休業もしくは時短営業を実施。この影響により、単月の売上高は4月が前年同月比で41.3%、5月が60.1%と低迷しました。 同社は今後、テレワークの増加や宅配・オンラインショッピングの拡大など、社会の仕組みや人々の消費行動が大きく変化すると予測。広報担当は「劇的に変化する市場に合わせてすばやく順応する必要があります」として、地域ごとのニーズに合った営業展開を検討中だそうです。