外食産業、売り上げ9割減も 各社模索、どうなる今後?【#コロナとどう暮らす】
居酒屋を食堂に
既存の店舗を別の業態に転換する企業もあります。居酒屋チェーン「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニーは5月15日に東京・渋谷、同18日に神奈川・武蔵小杉、6月9日には東京・池袋に、食事目的やちょい呑み目的など居酒屋より幅広い客層をターゲットにした食堂業態の「つかだ食堂」を新たにオープンしました。いずれも、これまでは「塚田農場」の店舗でした。 取締役の野本周作さんは、ここ数年は忘年会や歓送迎会などの宴会需要が減ってきており「塚田農場」などの従来型の居酒屋では客のニーズに応えきれていないとの問題意識を抱えていた、と話します。そして、この傾向はコロナ禍で一層進むとみて、日中の食事需要を取り込むとともに、会社帰りの「ちょい飲み」需要にも対応できる食堂への転換を図った、とのことです。 野本さんは「『つかだ食堂』が当たるかどうか、まだ始めたばかりなのでなんとも言えません」と説明。同社は「塚田農場」より客単価が高い店も安い店も展開しており、今後も多様な業態の店舗を運営しつつ、市場の動向を注視して力点を置く業態を見極めていく方針です。
好調なマクドナルド
外食産業の中にあって、比較的堅調だったのが、ファストフードです。日本フードサービス協会の調べでは、前年同月比で4月(84.4%)、5月(90.7%)と他の業態に比べると減り幅は大きくありませんでした。特に、ハンバーガーなどの洋風ファストフードは4月(102.8%)、5月(110.9%)と前の年の実績を上回りました。 日本マクドナルドホールディングスでは、4月の売上高は前年同月比で106.7%、5月は115.4%となりました。同社は、4月20日から東京都、大阪府など13都道府県内の約1910店で客席の利用を終日中止し、同29日には全国の全約2900店舗に拡大。店内での飲食が一切出来ない状況にも関わらず、ドライブスルーや持ち帰り、デリバリーの販売が大きく増加したのです。 緊急事態宣言の解除を受けて店内での飲食を再開するにあたり、同社はソーシャルディスタンス確保のためにイスの間隔を空けるなどの対応を行った結果、来店客の収容可能人数が従来の半分程度に減りました。それに伴う影響はまだ明らかではなく、同社の広報担当は「ウィズコロナ時代にお客様の行動がどう変わっていくのか、まだしばらくは注視しなければならないと考えています」と気を引き締めます。