モノづくり1500年の堺が生んだ「スーパー刀匠」
刃物を造るために呼ばれた男
現在48歳の淳氏は、娘二人の父親でもある。1000度以上になる火を扱う危険な仕事であるため、娘にはこの仕事はさせられない。自分のように、娘婿が継いでくれたら嬉しいけれど、その大変さを知っているが故に強制はできない、と話す。 「でも僕自身は、何かの縁があってここに来たんかな、と思っています。僕は旧姓を足立(あだち)と言いますが、結婚式を挙げる1週間前にアキレス腱を切って立てなくなって、結婚式も車椅子で出たんです。その時に、実家の父が『こいつは、自分の脚で立てなくなって、足で立つ=足立という姓を捨て、水の流れに沿うように水野という姓を名乗るようになった』みたいな話をしたんです」 それはどう考えても、何かに呼ばれてここへ来たとしか思えない。日本のモノづくりの根幹を支え、日本の魂を伝える刀・庖丁鍛冶の伝統は、選ばれし者のみが引き継ぐことができるのだと思う。 刃物を造るために堺に呼び寄せられた水野鍛錬所五代目・水野淳氏。今、彼が造る「堺の刃物」は、世界中の人々を魅了している。 ********************* 水野鍛錬所 〒590-0927 大阪府堺市堺区桜之町西1丁1-27 電話 072-229-3253 http://www.mizunotanrenjo.jp/ 土日祝・お盆・年末年始は休業
関 真弓