「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文4)一番の山場は初回のタッチダウン
世界とはちょっと違うやり方でいち早く実現
津田:じゃあ私からはそれとは別の観点で、「はやぶさ1」、「はやぶさ2」は小惑星と地球の間を往復飛行したわけです。「はやぶさ2」はもう完璧な状態で帰ってきたので、こういう惑星間飛行を完成させたというふうに言えるかと思います。世界のこういう宇宙探査では、月の往復飛行っていうのはもちろんできてますね。このあと火星のサンプルリターンを欧米では目指したりしていますが、そういうほかの天体に行って帰ってくるっていうのはやはりすごく大きな次の目指すべき科学のステップなんだと思います。 その世界がやっている方向とは少し違った形で、相手は小惑星だけども100万個、太陽系にある小惑星あります。そういう小さい惑星を相手に行って帰ってくる、太陽系を自由に行き来するという技術を日本は磨いている、それを2回もやったというのが特異な立場だと思っていて、この惑星間飛行を世界とはちょっと違うやり方でいち早く実現しているっていうのが科学的にも、それから技術的にも特異なポジション、日本が取れるんではというふうに考えています。 共同通信:分かりました。ありがとうございます。 司会:たくさん手が上がりました。では前列、真ん中の方お願いします。
リュウグウの実績を使ってどんな探査がありうるのか
林:ライターの林と申します。今の質問に関連してなんですけれども、津田さんは著書の中で、今、打ち立てられているMMXとかは2018年より前の技術を使っていると。で、リュウグウはそれより新しい技術を打ち立てたので、これから太陽系探査を日本がリードするには、その技術を使ってもっと新しいものを打ち出していく必要があるんじゃないかということをお書きになっていると受け止めたんですけれども、その観点から、今までとは違うリュウグウの実績を使ってどんな探査がありうるのかっていうことをあらためてお伺いしたいことが1つと、もう1つ、今回ISSの野口飛行士が「はやぶさ2」を目視して、さらにISSのトラスから動画を撮影されました。そのことについてのコメントというか、感想をお願いします。 津田:まず1点目ですけれども、そうですね、あれ、ちょっと1点目は、ごめんなさい、飛んじゃいました。 林:リュウグウで飛躍させた技術を使ったミッション。 津田:ごめんなさい。2018年にわれわれは小惑星リュウグウでもう思いも掛けないような困難にぶち当たったわけです。それを克服するために「はやぶさ2」の当初の設計のスペックの範囲を超えていろんな挑戦をしなければいけなかったんですが、それをきちんとやり遂げたということ、ここがわれわれ、普通こういうミッションをやると科学的には意外な発見がいっぱいあることが期待されるんですけども、技術的にも意外な進歩があったというふうに思っていますので、これは、この経験は生かさないわけにはいかないと思っています。 その意味でピンポイント着陸ですね、それをターゲットマーカーっていう特異なやり方でやったんですが、それが功を奏しました。ターゲットマーカーそのものというよりは、こういうわれわれが経験したやり方を踏まえると、小惑星は太陽系に100万個ありまして、「はやぶさ2」の性能でもたぶん1000個は下らない、行き来できるターゲットがもっとあると思います。そこには自由に行き来できるわけですね。われわれはその残りの、今までは行けなかったところに、より遠くの天体、あるいはより大きな天体にもっとたくさんターゲットを広げていって、科学の、科学的な調査ができる範囲を広げたいと思っています。そこに届くためにいろいろ足りないものがあったんですが、その2018年、われわれがやったことを使えば、そこに手が届くんじゃないかというふうに考えているということです。