実写映画が話題の傑作ホラーから考察要素満載のサスペンスホラーまで! 注目のホラーマンガ7選【書評】
すべて実体験! トラウマ系心霊マンガ『憑きそい』
2022年に刊行された『憑きそい』(山森めぐみ/扶桑社)は、イラストレーター兼占い師の山森めぐみ氏の実体験に基づく物語が描かれた短編集。元々は山森氏のインスタグラムで連載されていた作品で、その本格的な怖さからホラーファンの間で話題となった。2023年にはフジテレビの動画配信サービス「FOD」で実写ドラマ化され、多くの視聴者を恐怖のドン底に叩き落としている。
山森氏は2人の子どもと夫と暮らす、ごく普通の主婦。しかし、なぜか他の人には視えないものが視えるという。線路に佇む怪しい影、首が“くしゃっと”曲がった赤ちゃんなどである。 どうしようもなく怖いのだが、不思議と読み進めてしまう。そして読み終えた時には、また最初の物語に戻ってきてしまう……。なぜか病みつきになる、後味の悪い作品集だ。
モキュメンタリーブームの火付け役! 超話題作のコミカライズ『近畿地方のある場所について』
近年のモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)ブームの火付け役となった背筋氏の小説『近畿地方のある場所について』(背筋:原作、碓井ツカサ:漫画/KADOKAWA)。同作はリアリティのある構成と巧みな表現で好評を博し、累計発行部数20万部超えの大ヒットを記録した。
そんな話題作のコミカライズ版が登場。物語は、友人の小沢が行方不明になるところから始まる。オカルト雑誌の編集者だった彼は失踪する前、ある地域にまつわる怪談を取材していた。過去の雑誌記事からの引用、読者からのおかしな体験談、インターネット掲示板の書き込み……。小沢の足取りを追うため彼が収集していた資料を読み解いていくと、別々の怪談として扱われていたそれらには、ある繋がりが浮かび上がってくるのだった――。 コミカライズによって同作の独特な不気味さがよりリアルに伝わってくるため、すでに原作を読んでいるという人も改めて楽しめるはず。これをきっかけに、モキュメンタリーの世界へ飛び込んでみよう。
若手編集者×怪奇小説家のドタバタホラー『シャラクナ~怪奇心霊見聞録~』
イラストレーターとしても活躍する長乃あきら氏の『シャラクナ~怪奇心霊見聞録~』(長乃あきら/KADOKAWA)は、本格的なホラー作品が苦手な人にオススメしたい作品。怪奇小説家の写楽と、若手編集マンの和兎がさまざまな怪異に立ち向かう、いわゆる“バディもの”である。