「僕は人に助けを求めるのが下手な人間」生きづらさと向き合う絵本作家・ヨシタケシンスケが作った “かくれが”とは? #今つらいあなたへ
「今日は最悪想定モードで行こう」と決めると、現実が優しく見えることも
――今不安に直面している人たちにはどんなことを伝えたいですか。 ヨシタケシンスケ: 自分が不安なときに「今だけだよ」「のど元過ぎれば熱さ忘れる、だよ」みたいなこと言われるのが一番カチンとくるんですよね。僕自身もそういう経験をしているので、現在進行形でつらい人に「いずれなんとかなるよ」とはやっぱり言いたくないんです。悪いことばかりついつい数えてしまう側の人間なので、「それができれば苦労しないんだよ」っていくらでも反論を思いついてしまいます。 ネガティブはつらいですけど、それならいっそのことネガティブをもっと極めて、「みんなに袋叩きにされるかも」みたいな最悪の状態を想定しておけば、現実はそこまでひどくないと感じるかもしれません。80点取れると思ってたら、50点しか取れなかったとなると、減点方式になってしまうけど、最初から0点だと思っておくと、「意外と30点、40点取れたぜ」と、現実が加点方式になると思うんです。だから不安な日は「今日はもう最悪想定モードでいこう」とすればいい。どんな人でも体調の波があるので、うまくいく日とそうじゃない日があります。何があるかわかんないから、自分に一番甘い考え方を実装しておくんです。そしてすぐにそれを発動できるようにしておくことは大事ですよね。 僕自身、そういうネガティブな考え方はどうなのかと思っていた時期もあったんですけど、それで本人がホッとできるんだったら採用していいんじゃないかって今は思っています。自分がちょっとでも前向きになれる“自分のトリセツ”としておすすめですね。 ----- ヨシタケシンスケ 1973年、神奈川県出身。絵本作家、イラストレーター。広告造形やイラストの仕事を経て、2013年に初めての絵本『りんごかもしれない』を出版し、第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチで人気を博し、海外にも多く翻訳され、2019年にニューヨークタイムズ最優秀絵本賞を受賞。3月に自殺防止の対策に取り組むNPO法人ライフリンクとコラボしたサイト「かくれてしまえばいいのです(通称・かくれが)」が話題となっている。 文:遠藤光太 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました) 本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。 「#今つらいあなたへ」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。つらい気持ちを抱えた人の「生きるための支援」につながるコンテンツを発信しています。