【子どものペットロス】「泣くと○○が悲しむよ」は禁句。悲しみから立ち直る回復力は、しっかり悲しむ経験から
悲しい経験から立ち直るしなやかさと力
では、以上のような経験を経て子どもたちは何を学んでいくのでしょうか。 「子どもの年齢、発達の状況、ペットの亡くなり方、家族とペットの距離感によってさまざまです。一概には言えない部分があります。 ただ、全ての死に共通して悲しい経験があり、悲しい経験から立ち上がる・立ち直るプロセスがあります。この立ち直る経験がとても重要になります。 専門的な言葉で言うと、困難な経験からの回復をレジリエンスと言います。日本語にすると『回復力』に近いです。 植物の竹を連想してみてください。生竹は、大きな力を加えて折ろうとしても、しなるだけで折れずに元に戻ります。同じように、悲しい経験に直面してもポキッと折れない、悲しい経験から立ち直るしなやかさと力がお子さんに備わる可能性があります。 死の事実を曲解して伝えず、ありのままに伝え、悲しさに向き合わせる中で、共感と受容を通じて、子どもたちの立ち直りと回復を待ってください。 その経験が、ポキッと折れない子どもを育て、つらい出来事に直面してもくじけずに進む子どもたちを育てるのです。 この回復力は、これからの時代、とても大事になってくるのではないでしょうか」(濱野さん) 以上が、ペットの死に直面した時に心掛けたい親の姿勢です。 死と直面し、悲しみ、時間と共に回復して再び歩んでいく、そんな子どもの姿を、もしかすると亡くなったペットは一番に望んでいるのかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください。
取材協力 濱野佐代子(はまのさよこ)さん 日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科教授。獣医師、公認心理師、臨床心理士。放送大学客員教授。同大学獣医学科卒業。白百合女子大学大学院博士課程発達心理学専攻、博士(心理学)。帝京科学大学教授などを経て現職。専門は人と動物の関係学・生涯発達心理学。著書『人とペットの心理学-コンパニオンアニマルとの出会いから別れ』(北大路書房)、『「ペットロス」は乗りこえられますか?-心を支える10のこと』(KADOKAWA)、共著『日本の動物観-人と動物の関係史』(東京大学出版会)、分担執筆『新乳幼児発達心理学第2版-子どもがわかる好きになる』(福村出版)など。
取材・文/坂本正敬