5月の「0.5%」は確定的、今後の利上げはかなりのハイペースに? 3月FOMC議事録
米連邦準備制度理事会(FRB)は6日、政策金利の0.25%引き上げを決めた3月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公開しました。ポイントや今後の展望について、第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。 【グラフ】高まるインフレ圧力 今後の米利上げペースは加速化する?
バランスシート削減額は最大で月950億ドル
2018年12月以来となる政策金利の引き上げを決定した3月FOMC(15、16日開催)の議事要旨が6日に公表されました。そこでは0.25%の利上げを決定した舞台裏で、複数回にわたる0.5%ポイントの利上げ実施(通常は0.25%ポイント)、およびQT(量的引締め、FRBのバランスシート縮小)の詳細を議論していたことが明らかになりました。 今後の政策金利の引き上げに関しては、多くのFOMC参加者の意見としてインフレ率が高止まりする場合に「0.5%ポイントの利上げが適切になる可能性がある」との記載がありました。また毎月のバランスシート削減額の上限は最終的に950億ドルに達するとの記載があり、それに対して全参加者が「早ければ5月FOMCでプロセスを開始するのが適切だろう」としていました。 なお、5月のQT開始それ自体はパウエル議長の記者会見や複数のFed高官が言及していたことから既知の情報でしたが、具体的金額が示されたのは今回が初めてでした。
インフレ指標次第では7月も0.5%利上げか
今後の金融政策について結論を先取りすると、5月FOMC(結果発表は4日)におけるQT開始と0.5%ポイント利上げの同時決定は確定的と言えます。また6月FOMC(結果発表は15日)における0.5%ポイントの利上げも既定路線になりつつあると判断され、インフレ指標次第では7月FOMC(結果発表は27日)も0.5%ポイントの利上げとなりそうです。一度0.5%ポイントの利上げを実施すると0.25%ポイントに戻す明確な根拠が必要になりますが、金融市場の極端なクラッシュでも起きない限り、今後3カ月で状況が変化する蓋然性は低いと考えられます。 筆者は従前、年半ばには金融引き締めに消極的なFOMC参加者が過度な金融引き締めに警鐘を鳴らすことでFRB内部の意見がバラエティーに富むとの見方を示していましたが、一枚岩となって金融引き締めを敢行する現在の状況に変化はなさそうです。