糖尿病を放置すると“足を切断する”可能性も…「三大合併症」について医師が解説
合併症を進行させないためにできること
編集部: 最後に、これらの合併症から身を守るために大事なことを教えてください。 中尾先生: 合併症から身を守るためには、「合併症を進めさせないこと」「進行したとしても深刻な事態が起こるのを防ぐこと」の2点が重要です。 編集部: 合併症を進めさせないためにはどうすれば良いのですか? 中尾先生: 今回紹介した三大合併症は、いずれも血糖値が高い状態が長期間続いた場合に起こるものです。つまり、進行させないためには「血糖管理を心がけること」に尽きます。特に腎臓に関して言えば、高血圧も腎機能を悪化させてしまう要因になるため、血圧管理も重要になります。私はいつも患者さん達にご家庭で血圧測定をしていただき、必要に応じて血圧の治療もおこなっています。 編集部: 深刻な事態が起こるのを防ぐ方法についても教えてください。 中尾先生: すでに紹介していますが、足の切断に至らないように日頃からフットケアをすること、硝子体出血を起こさないように定期的に眼科を受診することが重要です。 編集部: 最後に読者へメッセージをお願いします。 中尾先生: 糖尿病の治療をしていると、血糖値ばかりに目が行きがちです。しかし、血糖管理はあくまで手段であって、糖尿病治療の真の目的は「合併症から身を守ること」。今回紹介したフットケアや眼科通院、家庭血圧の記録などは、ご自身でもできる合併症対策です。合併症から身を守るための習慣も身につけるようにしましょう。
編集部まとめ
糖尿病の三大合併症とその対策について解説していただきました。高血糖が長期間続くと神経・網膜・腎臓が侵され、ひどくなるとそれぞれ足の切断や失明、透析につながってしまうとのことです。進行を抑えるための血糖管理はもちろんのこと、フットケアや眼科通院、血圧の記録など、ご自身でできる合併症対策も意識するようにしましょう。
監修医師:
中尾 裕 先生(医師) 2014年九州大学卒業。卒業後は九州大学病院や九州医療センターをはじめ、福岡の多数の拠点病院で内分泌・糖尿病内科医として勤務。現在は九州大学大学院所属。これまでの経験を活かし、SNS上で糖尿病を中心とした医学の啓発活動を行っている。2023年5月より糖尿病を楽しく知るメディア「あおいろサークル」を発足。