日本全国で「食文化が違いすぎた」 北海道は"納豆に砂糖"、長崎県の"白い鉄火巻" …東西食論争も勃発
東西に長い日本列島は、各地で食文化が大きく異なる。その影響は、国民的カップ麺の『どん兵衛』(日清食品)にも顕著だ。 ■【画像】馴染みのない人には衝撃、長崎県で愛されている"白い鉄火巻" 「つゆの味を東西で変えていましたが、2024年9月から、麺、具材、七味も“ぜんぶ東西分け”になりました。リニューアルを機に、“どちらがおいしいのか”という議論は今も続けられています」(フードジャーナリスト) まさに“食の関ヶ原の合戦”。似たような争いは、他にも繰り広げられている。 まずは、北海道と沖縄県による、「日本最北端VS最南端対決」。ご当地グルメ研究家の椿氏は、次のように話す。 「北海道と沖縄県は、歴史的、地理的背景から、さまざまな食文化が流入し、独自に発展を遂げました」 中でも、ユニークな食べ方は、 「納豆に、小さじ1杯分くらいの砂糖を入れて食べます。粘りが強くなって、まろやかな味になるんです」(北海道・60代男性) この食文化は、北海道や東北地方の一部に見られる。 「江戸時代に北海道と大坂をつないでいた“北前船”では、砂糖が貴重な食材でした。そこで、納豆に砂糖をかけて、ハレの日の料理にしたと考えられています」(郷土料理研究家) 同じく、ハレの日の料理である赤飯も、 「米と小豆を一緒に炊くのが一般的ですが、北海道や東北地方には、甘納豆で赤飯を作る地域があります。砂糖を入れて、もち米を炊くので、かなり甘いです。青森では、いなり寿司もめちゃくちゃ甘くピンク色です」(前出の椿氏) 西日本でも、砂糖と赤飯の組み合わせはある。 「徳島県鳴門市が、赤飯にゴマ塩ではなく“ゴマ砂糖”をかけて食べます。鳴門市は塩の産地なので砂糖が希少で、ハレの日にピッタリだったんです」(前同) 対して沖縄県は、独自の食堂文化で、他県民を驚かせているという。 「沖縄の老舗の食堂は、メニューの数がとても多い。しかも、“おかず”という名のおかずがあったり、みそ汁の定食があったり。カツ丼にはニンジンやキャベツなどの野菜がたくさん載っていたりと、予想がつかないものばかりです」(同) 秋田県の稲庭うどんと香川県の讃岐うどんによる、「東西うどん対決」には、新勢力が忍び寄る。 「今でこそ讃岐うどんが有名ですが、稲庭うどんは、かつて殿様にも献上された高級品。伝統の手延べ製法によるツルッとした喉ごしこそ、うどんの醍醐味ですよ」(秋田県・50代女性) 東西でバチバチと火花を散らすが、2大巨頭に割って入るのは、近年、“うどん共和国”を名乗り始めた埼玉県だ。 「小麦の一大生産地で、経産省の『23年 経済構造実態調査』では、うどん麺などの出荷額が全国1位に。昔は自宅でうどんを作って食べていた文化もあるし、太くてモチモチの麺の“田舎うどん”を推す町が出てきたりと、勢いがあります」(椿氏) 讃岐・稲庭に次ぐ、第3勢力になりうるのか注目だ。また、前述のように、うどんは東西でつゆの嗜好が異なるが、その理由は? 「かつて、昆布は貴重品で、上質なものは都がある関西にしか行き渡らなかったという説があります。それで、西は昆布だしの薄口に。東は、かつおだしの濃口が主流になったといわれています」(和食料理人) うどんには欠かせない天ぷらには、こんな声が。 「大阪で、真っ赤な紅ショウガ天を見たときは驚きました。それに、関西の人は、天ぷらにソースをかけて食べるんですよね。駄菓子みたいな味わいで、新鮮でした」(東京都・50代男性) さらに驚くことに、関西では秋の風物詩に“モミジの天ぷら”を食べるという。 「紅葉で有名な大阪府の箕面山の名物で、塩漬けのモミジに衣をつけて揚げます。素朴な味つけで、紅葉を眺めながら食すと、風情があるんですよね」(椿氏) 一方、東にも青森“南部せんべいの天ぷら”、岩手“ビスケットの天ぷら”、長野“アカシアの花の天ぷら”など、個性豊かな天ぷらがそろい踏み。各地の特色を色濃く反映している。