放置すればガンのリスク増も!大人→子どもへ感染の危険性もある要注意な細菌とは?
胃がんなど病気の原因として知られる「ピロリ菌」。実は知らない間に感染していて、子どもに移してしまう危険性もあるんです。 【画像】放置すればガンのリスク増も!大人→子どもへ感染の危険性もある要注意な細菌とは? ピロリ菌が原因で起こる病気や感染経路などついて、ふれあいの丘内科内視鏡健診クリニックの粟田裕治院長に聞きました。
Q.ピロリ菌とはどのようなものですか
ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、「ヘリコバクター・ピロリ」が正式な名前です。アルカリ性のアンモニアを作ることで、強い酸性の胃の中でも生存し続けます。 多くの研究で、ピロリ菌が萎縮性胃炎(慢性胃炎)、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になっていると報告されています。 ピロリ菌は口から感染すると言われています。ピロリ菌に感染している大人から赤ちゃんに口移しで食べ物を与えたり、糞便に汚染された食物・水(井戸水など)を摂取したりすることで感染します。 とくにピロリ菌に感染しやすいのは、4歳ごろまでの乳幼児期と考えられており、成人になってから感染することはまれです。
Q.ピロリ菌感染で引き起こされる健康トラブルにはどのようなものがありますか
ピロリ菌はさまざまな病気の発生に関与しています。代表的な例として、次のものが挙げられます。 ・萎縮性胃炎: ピロリ菌が作るウレアーゼという酵素が、胃の粘液に含まれている尿素を分解してアンモニアを作ります。このアンモニアが胃の粘膜を傷つけると炎症が起こります。 長期間にわたって胃の粘膜の炎症を繰り返すと、胃の粘膜が萎縮を起こし、萎縮性胃炎という胃炎が生じます。萎縮性胃炎の多くは無症状ですが、チクチクとした胃の痛み、腹部の膨満感、胃が重く感じられるなどの症状が出るケースもあります。 ・胃潰瘍・十二指腸潰瘍: ピロリ菌感染で胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症することがあります。その際の症状は腹痛です。悪化すると出血を起こして、胃酸で血液が真っ黒になり、黒色便を認める場合もあります。 ・胃がん: 胃がんの発症にもピロリ菌は関与しています。早期の胃がんは無症状ですが、進行してくると胃の痛み・不快感・違和感・胸やけ・胃もたれ・吐き気・嘔吐・吐血・黒色便・食欲不振・体重減少といった多様な症状を引き起こします。