自民総裁選 所見発表演説会(全文3)日本経済強靭化計画で経済建て直す
中国海警法に対応できるよう、海上保安庁法改正に取り組む
今年2月に施行された中国海警法に対応できるように、海上保安庁法の改正に取り組みます。また、新たな戦争の形に対応できる国防体制を構築いたします。このゲームチェンジャーは衛星、サイバー、電磁波、無人機、極超音速兵器だと考えております。敵基地の無力化、なかなか困難な取り組みではありますが、これを可能とするための法制度整備。また、訓練と装備の充実、また、防衛関連予算の増額を行ってまいります。また、海底ケーブル、衛星の防御、しっかりと行ってまいります。 私は未来を開くために、雇用と所得の増大につながる大胆な成長投資、また分厚い中間層の再構築に資する税制、人材力の強化、全世代の安心感創出に資する諸政策を力強く実行してまいります。特に、税制では、育児や介護をしながら働いておられる方、非常に多うございます。ベビーシッターや家政士の国家資格化、これを前提にして、税額控除を行える仕組みを構築したいと存じます。また、麻生内閣で検討されていた、給付付き税額控除、また、災害損失控除、こういったものの導入を目指しております。 コロナ禍にあって、昨年中には就業者の約3分の1がテレワークを経験し、また、東京23区内では20代の若い方々の約35%が地方移住への関心を高められました。本社の地方移転を検討しておられる企業も増えてまいりました。また、地方にキャンパスを探しておられる大学もあります。地方としては、この移転を希望してくださる人材や大学や企業を受け入れる環境をしっかりと整えていかなければなりません。
物価安定目標2%の達成目指す
日本全国どこに住んでいても安全に生活することができ、必要な福祉や医療を受けることができ、質の高い教育を受けることができ、そして働く場所がある。こんな地方を増やしていくことによって緊急時のリスク分散にもなりますし、何よりも豊かな地方経済への道を開いていきたいと考えております。 私は有事の経済政策として「日本経済強靭化計画」を掲げ経済を建て直します。第1に金融緩和でございます。第2に緊急時の機動的な財政出動。第3に大胆な危機管理投資および成長投資でございます。この3つの政策を総動員して、まずは物価安定目標2%の達成を目指します。 日本経済が軌道に乗るまでには、時限的にいわゆるプライマリーバランスを凍結させていただき、戦略的な財政出動を優先いたします。プライマリーバランスが赤字であっても、名目金利を上回る名目成長率を達成したら財政は改善します。超低金利の今がまさに大胆な取り組みを行うチャンスのときでもございます。 危機管理投資、そして成長投資の恩恵というのは、将来の納税者にも及ぶものでございます。そして強い経済というのは、全世代型の社会保障をしっかりと維持すること。また科学技術力や外交力の強化、さらには豊かな教育の実現にも資するものでございます。 私の政策の中で特に大きな財政出動を伴う政策というのが、3番目の大胆な危機管理投資、成長投資でございます。産学官の力を結集して、急いで着手するべき危機管理投資の例を幾つか挙げさせてください。 自然災害が激甚化しています。水害、土砂災害、そして耐震化対策の促進。また送電網、通信網の強靭化。それからこれからどんどん厳しくなっていくであろう気候に耐えうる新たな土木・建築技術の開発、これを急いでまいります。また、気候変動の中、農業の環境も変わってまいります。この新たな環境にしっかりと耐えうる食料安全保障体制の構築。そしてまた新技術を大いに活用した農林水産業の展開も急いでまいります。 今、海外の送信元から日本に向けたサイバー攻撃の数でございますけれども、私たちの4年前の衆議院選挙のころにはだいたい1日当たり平均して3億9000万回でございました。ところが昨年の1月1日から12月31日までのパケット数を365で割ってみますと、直近の数字ではなんと1日約13億6600万回、これが海外から日本への攻撃です。私は国民の皆さまの大切な命や財産を守るために、特に医療、航空、鉄道、また電力、ガス、水道、また金融、クレジット、こういったさまざまな分野についてサイバー防御体制の樹立を急いでまいります。