自民総裁選 所見発表演説会(全文2)新自由主義的政策を転換
自民党総裁選への立候補を届け出た河野太郎行革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏は17日午後、所見発表演説会でそれぞれの政策を訴えた。 【動画】河野・岸田・高市・野田4氏が所見発表演説会(2021年9月17日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「【自民党総裁選】河野・岸田・高市・野田4氏が所見発表演説会(2021年9月17日)」に対応しております。 ◇ ◇
強い確信を持ってここに立たせていただいている
岸田:このたび、総裁選挙に立候補いたしました、岸田文雄です。浅学非才ではありますが、全身全霊を傾けて頑張ります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。まず1年間、コロナとの戦いの先頭に立って奮闘されてこられました菅総理に、心より敬意を表し申し上げます。ワクチン接種の加速、2050年カーボンニュートラル、デジタル庁の創設、多くの実績を残されました。誠にありがとうございました。そして、私は昨年の総裁選挙に敗れました。力不足でした。そして何よりも、総理総裁に対する確信というものが足りなかったと思っています。 しかし、今回は違います。今の時代、求められているリーダーは私であると、強い確信を持って、ここに立たせていただいております。総裁選に敗れ、多くの人たちが離れていくような気がしました。岸田の話はつまらない、岸田はもう終わりだ、こういった声もいただいてきました。夜、家に帰って、そういった厳しい声を振り返り、自分の政治家としての役割、終わってしまったのか、自問する日々でありました。
国民の声に寄り添い、多様な声を真摯に受け止める
原点に戻るということから、1年間、多くの皆さんの声を聞いてまいりました。あるとき、地元広島の商店街で年配の女性に声を掛けられました。お話を伺わせていただきました。春風香る穏やかな日でありました。お話を伺って、話を切り上げようといたしましたら、こう言われました。政治家の先生にこんなゆっくり話を聞いてもらったんは初めてじゃけん。みんな、自分のことは言うけれども、話は聞いてくれんけえ、やっぱり岸田さんだわ。こういう言葉をいただきました。この言葉を聞いたとき、はっといたしました。厳しい批判にさらされている私でも、人の声をしっかり聞ける。聞く力を持っている。こうした特徴があるんだと、気が付かせていただきました。 思い返してみますと私はご意見、多くの皆さんのご意見を承り、そしてここにある、この小さなノートに書き続けてまいりました。そしてこれを読み返し、私自身、何ができるのか、これを考え続けてまいりました。私にとってこのノートは大切な宝物です。そして1年間、国民の皆さんからの声を振り返りますと、生活の苦しさを訴える切実な声と、そして政治に対する厳しい指摘、これらでありました。 国民政党であったはずの自民党に声が届かないと国民が感じている。信なくば立たず、政治の根幹である国民の信頼が大きく崩れ、わが国の民主主義が危機に陥っているのではないか、強い危機感を持つに至りました。今こそ、国民政党として国民の声を聞き、そして丁寧で謙虚な政治、多様な意見に寛容な政治が求められているのではないでしょうか。 新型コロナとの戦いが始まって、もうすぐ2年。国民の皆さんが大きなストレスを感じ、疲れを感じている今、求められる政治は、自分のやりたいことを、俺に付いてこいと押し付ける政治ではありません。ましてや、俺が正しいんだと国民をねじ伏せる政治でもありません。1人1人の声に、国民の声に寄り添い、その多様な声を真摯に受け止める、そうした寛容の政治が求められています。 そしてわれわれ保守政治の根本は寛容の精神にあります。私自身も含めて、われわれは欠点の多い、不完全な人間ばかりであります。しかし、そうした不完全な人間のありようを受け入れ、先人たちが築いてこられた地域の伝統、慣習、秩序を尊重しながら、さまざまな意見に耳を傾けつつ、一歩一歩、より良い社会をつくっていく、これこそが保守の精神です。