農業ベンチャー社長が語る「農家はやめとけ」とみんなが言う本当の理由
クックパッドのポッドキャスト番組「ぼくらはみんな食べている」。食や料理に熱い思いを持ち活躍するゲストを迎え、さまざまな話を語ります。クックパッド初代編集長の小竹貴子がパーソナリティを務めます。今回のゲストは、株式会社マイファーム代表取締役の西辻一真さんです。 ◇ ◇ ◇
「株式会社マイファーム」とは…?
小竹:まずは株式会社マイファームについて教えていただけますか? 西辻さん(以下、敬称略):2007年にできた会社で、「自産自消ができる社会をつくろう」ということで、世の中の人たちが少しでも野菜作りに取り組むような生活スタイルを築くことができれば、世の中がもっとよくなるのではないかという思いでスタートしました。
小竹:今14年目で社員数は約300人とのことですが、拠点もたくさんありますよね? 西辻:経営的な戦略ですが、農業はすごくいい仕事ですが、どうしても自然災害がある。それが安定的な収益を生む際のリスクになってしまうんです。普通はリスクを減らそうとするのですが、僕たちはリスクを分散させる考え方を持っていて、できるだけ各地で事業を行うようにしています。だから毎年被害に遭います。 小竹:絶対に自然災害はありますもんね。何ヵ所くらいあるのですか? 西辻:今は全国の農場拠点で150ヵ所ほど。北海道から沖縄まであります。まだ開拓していない都道府県はいくつかありますが。 小竹:自然災害はあるという前提で増やしていく? 西辻:そうです。「自然災害を避けるために植物工場にしましょう」とか「できるだけ災害の少ない場所に作りましょう」などとよく言われますが、それはなかなか難しいと思っていて。どこでも自然災害は受けますっていう会社になっています。 小竹:西辻さんはいろいろなところにいるのですか? 西辻:うちの会社は京都が本社なのですが、僕はどこにでも行けるように4年前に東京に引っ越してきました。
母親との「家庭菜園」が最初の畑との接点
小竹:西辻さんは福井県出身ということで、私は石川県出身なので北陸仲間ですね。農業をなさっているお家で育ったのですか? 西辻:サラリーマンの息子でして、たまたま父親の転勤で福井県三国町で生まれただけなんです。でも、友達はみんな、漁師か農家の子でしたね。 小竹:蟹漁師とか? 西辻:蟹漁師もいましたね。幼少期に友達と遊ぶときに、海なら潜れるようにとか、畑なら収穫できるようにとか、みんな遊ぶフィールドがあるんです。そうなったときに、サラリーマンの息子って何もできないので劣等感を抱くんです。 小竹:普通は逆の印象ですけどね。 西辻:石川でお生まれになった小竹さんは、農家さんとか漁師さんのご家庭ですか? 小竹:うちはお米屋さんです。周りに農業をやっている人が多いので、ゴールデンウィークになると田植えでみんな学校休みとか。 西辻:一緒一緒!それが僕は羨ましかった。みんな田植えで休んでいるのに、僕だけ学校に行っているのがすごく嫌で。できるだけみんなと一緒になりたいと思って、海に潜る練習をしたり、野菜作りをしたり、みんなと同化したいっていう思いでした。