旅の目的地にしたい、巨匠建築家が手掛けた世界の図書館 5選
建築界を牽引する巨匠たちが設計した図書館をピックアップ。大学のキャンパスに建設されたものから、都市計画の一部として政府主導で進められた大がかりなプロジェクトまで、デジタル時代における図書館のあり方を考えさせられる珠玉の5作品をご紹介。
北京都市図書館/中国・北京
設計/スノヘッタ スノヘッタが、地元のパートナー、ECADIとともにつくり上げ、2023年に竣工した通州区の図書館。デジタル時代において人々に求められる図書館を実現すべく、本の物質性や「本のページをめくる」という体験に注目して新しいビジョンを提示した。
館内では、近くを流れる通恵河の流れをイメージした小道「The Valley(渓谷)」が、南北のエントランスをシームレスにつなぐ。最高16メートルに及ぶ高さを誇る天井まで伸びる細長い柱の着想源は、中国に自生する銀杏の木だ。
この柱は、サステナビリティにも貢献。室温や照明、音響を制御する統合技術も組み込まれており、屋上から雨水を集めてグリーン・インフラストラクチャー・システムに流し、灌漑に再利用することも可能だ。
北京都市図書館 住所/Beijing City Library, Lv Xin Road Courtyard No.1; Building No.3; Tongzhou District, Beijing
イスラエル国立図書館/イスラエル・エルサレム
設計/ヘルツォーク&ド・ムーロン エルサレムの中でも近代的な建物が立ち並ぶ西部エリアに完成した図書館。2023年竣工。土地の形を反映した三角形の外観が特徴的。図書の大半は、地下階に所蔵されている。
1階と2階部分の壁はガラスに覆われ、館内の様子を外部から伺える。強い太陽光を遮り、熱を吸収するため、上階の外壁にはコンクリートを下地に、エルサレムで採掘されたライムストーンを配置。古代文字のようにも見える抽象的パターンをつくり上げた。
閲覧室を囲むのは、展示室やカフェ、レストラン、オーディトリアム、ギフトショップ、ユースセンター。天窓から自然光が降り注ぐ吹き抜けの中心部からは、円を描くように各階に配置された書架を見ることができる。