大阪・関西万博へ空からアクセス? 国や大阪府が実用化目指す「空飛ぶクルマ」
国や、大阪府などの自治体が実用化を目指す「空飛ぶクルマ」。大阪府は日本初の空飛ぶクルマ事業の開始を目指しており、2025年の大阪・関西万博では、国内外からやってくる来場者の会場アクセスへの活用を目論みます。現在、国内外のメーカーでは機体開発が進み有人での試験飛行も始まっていますが、運行の安全性に関する基準を含む制度の整備は途上にあるなど、実用化に向けた課題も残されています。 【中継録画】大阪府「空飛ぶクルマ」実現へ始動 吉村知事「自治体レベルでは初めて。大阪が率先してやっていく」
万博会場へは空飛ぶクルマで
「空飛ぶクルマについては、ぜひこの大阪で実現をさせたい、実用化をさせたい」 大阪府の吉村洋文知事は2020年11月11日の定例会見で、こう力を込めました。 空飛ぶクルマについては明確な定義がないようですが、国は「『電動・垂直離着陸型・無操縦者航空機』などによる身近で手軽な空の移動手段」と表現しています。 代表例は、eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing:イーブイトール)と呼ばれる電動の垂直離発着機です。空飛ぶクルマは上空をまるで自動車のように手軽に移動でき、交通や観光、災害対応など幅広いシーンで利用が見込めるとして注目されています。
民間企業によるビジネス実現の後押しを狙う
府は11月17日、空飛ぶクルマ実用化について産官学で協議する「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」の設立式を行いました。府商工労働部成長産業振興室の担当者によると、設立式はそもそも3月25日の予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて11月17日に延期したそうです。府自らが空飛ぶクルマ事業を運営するのではなく、同テーブルでの取り組みを通じて、民間企業によるビジネス実現の後押しを狙います。 現時点で、運行事業者や運行ルートなど、空飛ぶクルマ事業の具体的な中身は決まっていません。同テーブルでは今後、機体開発の現状報告や離発着場のあり方、飛行ルートなど、ビジネスモデルの確立につながる協議を行い、2021年度中に事業化に向けたロードマップ策定を目指します。その後、2023年には民間企業による事業開始、2025年の大阪・関西万博では空飛ぶクルマで会場にアクセスできる環境を整える、という青写真を描きます。 国は2018年8月、空飛ぶクルマについて話し合う「空の移動革命に向けた官民協議会」を設置。同年11月に策定した「空の移動革命に向けたロードマップ」では、2023年の事業スタート、2030年代の実用化拡大という目標を定めました。大阪府が掲げる2023年事業開始という目標は、このロードマップに沿って設定されています。 経済産業省製造産業局の担当者によると、同協議会では現在、機体の安全基準、操縦士の技能として求められる要件、運行時の安全基準について、実務者級で協議している最中。来年度のロードマップ改定時に、これらの検討結果を盛り込みたいとしています。