大阪・関西万博へ空からアクセス? 国や大阪府が実用化目指す「空飛ぶクルマ」
SkyDriveは有人飛行試験を公開
海外では、ヘリコプターメーカーの米国のベル・ヘリコプターや欧州の航空機大手エアバス、eVTOLを手掛ける中国のイーハンなどの各社で空飛ぶクルマの開発が進みつつあります。日本国内では、eVTOLを開発するベンチャー企業のSkyDriveが2020年8月、愛知県豊田市にある同社の開発拠点で公開飛行試験を実施しました。約4分間の飛行試験の模様をおさめた動画は、同社のサイトなどで見ることができます。 同社の空飛ぶクルマは、座席の前に配置したディスプレイから目的地を入力。あとは自動運転で目的地まで飛行する仕組み。今、飛行試験に使っている機体は1人乗りですが、2023年度の販売開始に向けて2人乗りの機体を開発する方針です。1人は乗客、もう1人は緊急時に操縦を担う操縦士の搭乗を想定しています。 性能面では、飛行速度100km/h、航続時間20~30分、高度は最高500mの実現を目指します。なお、販売開始時点で地上を走行する機能は盛り込まれない見込みですが、将来的には搭載する予定です。 機体開発では、安全性の確保も重視しています。代表取締役CEOの福澤知浩さん(33)は、「現在も、プロペラや電池など機体の一部が故障しても飛行を可能な限り継続できる性能は実現しています。2023年度に完成予定の機体では、故障してもすぐさま落下せず、ゆっくりと安全に降下できる仕組みを搭載します。今、空を飛んでいる飛行機は、地上を走る自動車よりも事故率が低く、安全性に関しては現状の飛行機と同レベルを確保します」としています。また機体開発と平行して、空飛ぶクルマが安心して利用できる乗り物であることを社会にPRしたい考えです。 空飛ぶクルマが実用化されれば、人類の歴史が大きく変わる、と予想する福澤さん。「約100年前に飛行機が登場し、自動車の大量生産がはじまると、多くの人々がこれまでなかなか行けなかったような場所へたやすく移動できるようになり、生活が豊かになりました。同じような変化が、空飛ぶクルマの登場によって起こると考えています」