戦後80年で先の大戦の記憶次世代へ、国際親善も本格化 令和7年の皇室
終戦から80年に当たる令和7年は、皇室にとっても大きな節目の年になる。戦後生まれの天皇陛下が先の大戦にどのように向き合うのか、令和の象徴としてのあり方を皇后さまとともに示される1年になりそうだ。ブラジルとの外交関係樹立130周年や、「2025年大阪・関西万博」などの国際イベントも数多く予定されており、新型コロナウイルス禍を経て本格化しつつある皇室の国際親善にも注目が集まる。 ■先の大戦の記憶、どうつなぐか 「私と雅子は、戦後生まれであり、戦争を体験していません」 陛下は6年6月、英国訪問前の記者会見でこう前置きした上で、先の大戦について、「亡くなられた方々や苦しく、悲しい思いをされた方々のことを忘れずに、過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います」と述べられた。 上皇ご夫妻は平成を通じ、先の大戦の犠牲者の「慰霊」に心を砕かれてきた。戦後50年を迎えた平成7年、ご夫妻は原爆が投下された長崎、広島を相次いで訪れ、地上戦で多くの犠牲者を出した沖縄にも足を運ばれた。「慰霊」の旅は海外にもおよび、戦後60年(17年)はサイパン、同70年(27年)にはパラオを訪ねられた。 戦後80年は、陛下が即位後、初めて迎えられる大きな節目だ。例年、終戦の日に行われる全国戦没者追悼式のほか、両陛下の恒例の地方ご公務「四大行幸啓(ぎょうこうけい)」の一つで、令和7年秋に長崎県で「平和」をテーマに開催される「国民文化祭」も注目される。 このほかにも両陛下が広島、沖縄などの象徴的な場所を訪れ、関係者と面会されることも想定される。宮内庁幹部は「外国も含めた『慰霊』の旅を、平成と同じように重ねられるとはかぎらない」とした上で、「戦後生まれの両陛下は、上皇ご夫妻の平和を願うお気持ちを受け継ぎ、戦争の記憶を次世代につないでいくということを大切にされている。そうした今のお二方の姿勢を示されるのではないか」と話す。 ■国賓受け入れ実現なら6年ぶり