初の女性選手抜擢も…2大会連続銅メダル獲得の車いすラグビー代表が伝えたもの…「金メダル以上に輝けた」
金メダルは獲得できなかったが前回よりも重みがある銅メダルである。前回リオ大会の準決勝で屈した豪州には、グループリーグ最終戦でも顔を合わせ、バットとボンドが、揃い踏みした状況下で57-53と勝利、今大会で2連勝した。2年もの間、実戦から遠のき、イングランドが強化されるなど、パラリンピックで、世界の勢力図の変化が明らかになったが、日本が出遅れたわけではない。この5年を経て強くなった。そして、この銅メダルを3年後のパリ大会で金メダルを獲得するための糧としなければならない。 試合が終わった直後に、池崎はチーム最年少の橋本勝也(19・三春町役場)の肩を抱きながら言葉を交わした。何を伝えたのか。期待を込めながら池崎が明かす。 「正直、この大会はあまり出る機会がなかったですけど、日本の先輩である自分たち、池や島川の姿を見て悔しい思いをして、どんどん努力をして自分たちに追いつけと。そして追い越して、もっと世界へ上がれるようにこの悔しさを忘れるな、と。その素質をお前は持っているから、もっともっと努力しろと。そういう話を伝えました」 オアー監督に才能を見出され、16歳で代表に抜擢された橋本の持ち点は「3.0」で、次世代のハイポインターへの期待もかかる。目標であり憧れの存在でもある池崎からもらったエールの嬉しさと、思うように出場機会を得られなかった東京パラリンピックで募らせた悔しさとが相まったのか。橋本はコートの上で号泣した。 チームスタイルを一変させた立役者であるオアー監督は、3年後のパリ大会まで指揮を執る意向を明かした。 今大会では、無観客開催ではあったが、テレビ画面を通じて車いす同士が「ガシャーン!」と激しい衝撃音を立ててぶつかり合う光景と緻密な戦術との融合の醍醐味を伝えることができた。正確なパスを通し、激しい運動力で強烈なタックルを見舞い続けたプレーヤーたちは、バスケットボールと同じ広さのコート上で、障害を乗り越えて、年齢、そして性別の垣根をなくし共生できる素晴らしさを魅せてくれた。だが、彼、彼女たちは勝利にこだわる。3年後こそ…。