「学び」は最高のアンチエイジング 相川七瀬さん、美園さくらさんともに大学院で研究者に 令和7年新春対談
人生100年時代、大人の学びを実践し、若さ輝く「時分の花」に加え、散ることのない「まことの花」を咲かせる人がいる。今年、デビュー30周年を迎えたロックシンガーの相川七瀬さんと、元宝塚歌劇団トップ娘役の美園さくらさん。ともに芸能の世界で頂点を極めたのちに、大学院に進み、研究者の横顔も持つ2人が、〝学び〟について語り合った。(構成 飯塚友子) 【写真】慶応義塾大大学院の修了証書を手にポーズをとる美園さくらさん ■神事継承の力になりたい 美園 相川さんは昨年、国学院大学神道文化学部を卒業され、そのまま大学院に進まれたんですよね。 相川 はい。昔から神社やお祭りが好きでしたが、平成23年に、長崎県対馬市で千年以上続く古代赤米(あかごめ)の神事継承が危ういと知って何とか力になりたくて、国学院大で神道やお祭りについて、科目履修生として学び始めたんです。高校を中退してデビューしましたから、大学受験の準備も進め、高校卒業程度認定試験(旧大検)から。大学入学は令和2年、45歳のとき。長男とは〝同級生〟です。 美園 すごい! 相川 でもお祭りって、神様だけでなく人がつくる。すると神様側だけでなく、一般の人側から見たお祭りも学びたくなり、大学院では民俗学に学問を移したんです。すると学問領域が違うから用語すら分からず、苦労しました。修論(修士論文)不安…。美園さんは修士の先輩ですから、まぶしいです。 美園 とんでもないです。私も高校を中退し、宝塚音楽学校に入りましたが、学生時代から勉強は好きで、入団後も通信制の大学で学び続けていました。慶応義塾大大学院に行ったのは、宝塚でメンタルヘルス(心の健康)の重要性を痛感し、在団中に抱いた疑問を主観で終わらせず、学問的にブラッシュアップしたいと思ったからです。 相川 面白そう! 美園 でも指導教授らに、テーマそのものを崩されるショックを味わいました。結局、非言語で意思疎通をするにはどうしたらいいか-というテーマを研究したのですが、結果的にメンタルヘルスにもつながったと思います。教授が理系で、文系に行きがちな研究をロジカルに捉える挑戦で、修士修了後の今も、研究室に所属して研究を続けています。 相川 自分の体験や、湧き上がった衝動を研究にぶつけ、追究したいものが見える瞬間があったのかなって思います。それは誰かのためではなく、『自分が知りたい』っていう、純粋なモチベーション。そこがなくなっちゃうと研究って、やっていけないですよね。