「学び」は最高のアンチエイジング 相川七瀬さん、美園さくらさんともに大学院で研究者に 令和7年新春対談
相川 図表は、私も苦戦しています。私の場合は地図で、お祭りの背景にある地域相関図、この家を頂点としたグループがあって、みたいな関係を落とし込む作業を1日やっても、全くできない。教授は「昔は、手作業でトレース(薄紙で写す)した」っておっしゃるけれど、今ならフォトショップとか使ってソフトに落とし込んだ方がいい。ところが私は「まず、それ自体のやり方を教えて」という、底辺からのスタートです。
美園 あと大学院では外国人との共同研究もあって、学会での発表のために合宿したりして、人脈がすごく広がりました。今は学芸員の資格取得の勉強もしています。それこそこれから、民俗学の単位も取らなくてはいけないんです。
相川 私も学芸員の資格、持っていますよ。
美園 先輩! 今、大変過ぎて…。授業の量が半端なくて、しんどいです。
相川 学芸員は課程が大変で、挫折してしまう。私の学部の友達もほとんど残らなかった。実習取るまでも大変。でもつい先日まで、ミュージカルのヒロインをなさっていた美園さんが、考古学の現場でハケ使って発掘したら、本当にすごいですよね。そのうち2人でビニール手袋して木簡持っていたりして(笑)。
美園 大喜びで写真撮っちゃいます(笑)。そういうの、ロマンを感じます。
相川 昨秋、奈良国立博物館で催された正倉院展で、1300年前の聖武天皇の大嘗祭の遺物が展示されたんです。その中に、私の研究対象の赤米関連のものがあると聞き、現地に行ったのにない。 悔やんでも悔やみきれず、再度確認したら期間限定の展示と分かって、また慌てて行きました。私も執念ですが、ドロドロの土の中から、木くずと思うような木簡を、史料として復元して展示する、学芸員の執念も感じました。
美園 そこに共感しますよね。学芸員の苦労も分かる。史料は、ただ並べて展示しているのではないし、見やすいよう明るくしたらいいと普通は思うけれども、温度や湿度、照明、いろいろな条件の中で展示されています。