「学び」は最高のアンチエイジング 相川七瀬さん、美園さくらさんともに大学院で研究者に 令和7年新春対談
■学びは新しい人間関係をつくること
相川 私は究極、学びは新しい人間関係をつくることと思っています。趣味の世界でもいいから、新しい人から得る知識や価値観に触れることが学びにつながるのでは。
美園 まさしくそうです。大学院だと周りは全員、知らない人。宝塚も芸能界も同じだと思いますが、10代から周囲の方々が優しさで、褒めてくださるじゃないですか。それに甘えてしまいがちなので、一度、〝誰でもない私〟になって、どれだけ自分ができないかに直面しようと思いました。
相川 自分ってまだまだなんだって、愕然としますよね。守られた世界からはみ出て、何かつくるのはチャレンジです。
美園 そこが学びで、心が折れることもありますが、自分の仕事では味わえない感覚です。自分のキャリアを一旦横に置き、違う世界でのゼロスタート。表に出る仕事をしていると、特権を使ったと見られがちで、そことも闘わなくてはならない。
相川 どんなことでもコツコツ、遠回りでも正規のステップを踏むって大事。駄目なら駄目な点数をつけてもらうべきです。教育機関ってそこは厳しいから、そこにいられてよかったです。
■知らない自分を発見
相川 私は今年、50歳になります。私たちのように夢を仕事にできる人間は本当にラッキーで、天職と思って大事にしなければいけない。でも私はお祭りも大好きで、それに関わる地域活動、学問と出合い、歌以外にこんなに人生かけられるものがもう一個できたと思っています。それは誰にも邪魔されない自分の時間で、聖域です。
美園 私は、学びによって自分の価値のようなものを一回崩し、もう一度新たな自分を作るきっかけが、今の段階で必要だったと思いました。宝塚在団中は、若さもあって視野が狭かったと思うんですが、退団して学び直す中で、いろいろな価値観と出合い、軌道修正すべきところを発見できた。その結果か昨秋、退団後初めて舞台(ミュージカル「DEATH TAKES A HOLIDAY」)に出させていただきましたが、芝居の吸収の仕方、呼吸の仕方が少し違ったように感じました。自分自身のいろいろなよろいが取れて、演出家の言葉も素直に入ってくる感覚です。新しい環境に身を置き、自分が吸収しようと情熱を持って挑戦したからこそ、そこに気付きがあったと思います。