こがようこさんの絵本「へっこ ぷっと たれた」 わらべうたで言葉だけじゃないやりとりを大事に
語りかけるのは、言葉だけじゃない
――子どもに絵本を読むとき、どう読んだらいいかわからないと悩むのは、子育てに真面目に取り組んでいるからだと、こがさんは言う。 今のお母さんお父さんは、すごく一生懸命なんだと思います。真剣に、「どう読んだらいいかわからない」と思われているのですね。正しく読みたいというのでしょうか。絵本はいいもの、子どもが生まれたら一緒に絵本を読みたいという思いはすごくあるのですが、実際に絵本を開いてみたら、大人の文章を頭の中で読むことと、絵本を声に出して読むことに違いを感じて、どう読んでいいかわからなくなってしまうようです。あるいは、読んでみたけど赤ちゃんが反応しなかったり笑ってくれなかったりして、自分の読み方がダメなのかもと思ってしまう人もいます。昔の親もそうだったのかもしれませんが、今の方がそういう声が多く聞こえてくるように思います。ひらがなだけの世界を大人になって改めてみたときに、どう発していいかわからないという人は、もしかしたらたくさんいらっしゃるのかもしれません。 ――赤ちゃんの反応は様々。大切なのは声を聞かせてあげることだ。 赤ちゃんは絵本に反応しなくても、読んでくれている人のことを一生懸命見ています。それでいいんです。お母さんお父さんの声を聞いてもらうことが、とても大事なことだと思います。絵本を読んですぐに反応が返ってこなくても心配する必要はありません。赤ちゃんも「絵本」とはどんなものか、はじめはわからなくて、でも、続けていくうちに、絵本を開くと、お母さんやお父さんの気持ちいい声が聞こえてくるものなのだと感じて、絵本を見たくなっていくのです。 小さな赤ちゃんに語りかけること自体が、はじめは難しいと感じる人もいるようです。「今日はいい天気だね」「お日様出てるね」って。ちょっとしたことでいいのですが。 「わらべうた」もそうですが、語りかけるというのは、言葉を届けることだけでなく、目と目を合わせたり、笑いかけたりしてあげること。それで赤ちゃんが笑ってくれたら、「笑った! かわいい!」って思う。そういうやりとりが大事です。赤ちゃんが意識的にニコニコしているわけじゃなくても、お母さんやお父さんは「かわいい」「うれしい」と感じる。そうすると、また見つめ返したり、触ってあげたくなる。そういうキャッチボールみたいなことが語りかけるということで、お互いにとって大事なことだと思っています。