「助けの求め方が分からない」国内最大の少年院に密着 年々増加する「境界知能」の非行少年たち【報道特集】
さらに加古川学園では、少年たちの認知機能の訓練のため、2023年からドローンプログラムを導入した。 指導にあたるのは作業療法士。手元のコントローラーを動かしながら、機体を目で追う操作は、注意力や集中力のアップにもつながる。 ドローンとセットで行われるのが「ペグテスト」と呼ばれる検査だ。ボードに表示される数字と五十音、それぞれの穴に、順番に棒を刺し、かかった時間を測定する。 すると結果は、4人とも、ドローンをやる前より後の方がタイムが早くなっている。中には1分以上縮めた少年もいた。 高知リハビリテーション専門職大学 足立一 教授(作業療法士) 「注意機能が低い子ほど、ぐっと(タイム)上がっていくっていう傾向があるかなとは思います。機械なのでトラブル多いんですよ、そういうときの対応として感情のコントロールであったり、問題解決力とかそういうことも養います」 ■出院間近の少年たちによる「リスタート宣言」 この日、加古川学園恒例のある取り組みが行われた。出院を間近に控えた少年たちが家族や法務教官を前に、出院後の決意表明をする「リスタート宣言」だ。 「僕は社会でもやってやれる自信があります。ものすごく楽しみにしています」 「転んでも立ち上がり、立派な男になるべく奮闘してまいります」 参加した少年は9人。最後に発表したのは少年院生活に不安を感じ、教官の面接を受けていた、あの17歳の少年だ。 少年(17) 傷害 「少年院に入ったころは気分も落ち着かず、毎日がとても苦痛でした。そんな日々を送っていたある日、担任の先生との面接があり、『大丈夫だ』と励ましてくれたことで、少しずつ話せるようになりました。出院してからは真面目に仕事をして、母の言うことや周りの人の話も受け入れていくようにします。 最後に母へ。正直、鑑別所に入ったとき手紙も面会も何もせんと見捨てられたかと思いましたが、少年院に入り、毎月の面会に来てくれたり…手紙をくれたりした時はホッとしたし、裏切ってきて傷つけてきたのに『生まれてきてくれてありがとう』と言ってくれて、ほんまにありがとう」