【箱根駅伝】トップランナーの証し、10000mの27分台ランナーは11人から20人に急増! 日本選手は7人→13人に
2025年1月2日、3日に開催される第101回箱根駅伝は、近年高速化が進んでいる。学生トップランナーの証しである10000m27分台の記録を持つ選手は、2020年の第96回大会では5人(うち日本人選手は1人)だったが、前回の11人(うち日本選手7人)を経て、今大会では日本人選手13人を含む計20人にまで増えた。今や夢の26分台も、そう遠くない未来かもしれない。 【写真】5月に「27分21秒52」のU20日本記録を出した東京農業大の前田和摩
東京農大・前田和摩の"衝撃"を皮切りに
オリンピックイヤーの2024年、最初に衝撃的な記録が飛び出したのは、5月3日に行われた日本選手権10000mだった。実業団選手を含む国内トップ選手が集まるこの大会で、東京農業大学の前田和摩(2年、報徳学園)が27分21秒52のU20日本記録を打ち立て、3位入賞を果たした。その後はけがに苦しみ箱根駅伝予選会は欠場。チームは予選会通過ラインにわずか1秒及ばず、本戦出場を逃した。来季以降の活躍に期待がかかる。 続いて新たに27分台に突入したのは、創価大学のスティーブン・ムチーニ(2年、ミクユニ)と青山学院大学の黒田朝日(3年、玉野光南)。いずれも5月9日の関東インカレ2部10000mでしのぎを削り、ムチーニは27分41秒52で2位、黒田は27分52秒02で日本人トップの3位に入り、青山学院大学として初の27分台ランナーになった。 各大学とも夏合宿を前に、主力選手がタイムを狙って出場するホクレン・ディスタンスチャレンジの網走大会では、中央大学の溜池一太(3年、洛南)が自己ベストを約15秒更新する27分52秒38を記録した。溜池は今年2月中旬から約1カ月間、アメリカで練習。現地選手のジョグの距離に驚き、日本に帰国してからもハイレベルな練習を継続したことが、結果につながった。同時にエースとしての自覚も芽生え、藤原正和監督は「箱根駅伝2区での起用」を明言している。前回の箱根駅伝で1区19位に終わった悔しさを晴らしたい。
MARCH対抗戦で一挙5選手が27分台をマーク
駅伝との両立が難しくなる秋の各大会でも、好記録が続出した。 11月9日に行われた日本体育大学長距離競技会では、早稲田大学の山口智規(3年、学法石川)が27分52秒37を記録した。2区区間5位と好走した全日本大学駅伝からわずか6日後というハードスケジュールでの好走は、地力がある証しだ。前回の箱根駅伝は2区を走り、黒田、駒澤大学の鈴木芽吹(現・トヨタ自動車)、國學院大學の平林清澄(4年、美方)に続く区間4位でチームのシード権獲得に貢献。他大学より一足早く来年度の幹部も決まり、山口は駅伝主将に就任。来シーズンにつなげる走りができるか。 11月23日には、八王子ロングディスタンスとMARCH対抗戦が行われた。八王子ロングディスタンスでは、城西大学の斎藤将也(3年、敦賀気比)が27分45秒12の自己ベストで7組の6着に入った。自身が持つ城西大学の日本人記録を15秒近く更新し、ゴール後はガッツポーズ。箱根駅伝では2年連続2区を走っているが、山登りの適性もある。どの区間になってもいいように、しっかりと準備をしているようだ。 MARCH対抗戦では一挙5人が27分台を出した。 全体トップは大学新となる27分43秒33を出した青山学院大の鶴川正也(4年、九州学院)。ラストイヤーの今季は出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに区間賞を獲得し、原晋監督からも”エース”と称される。けがに苦しみ、箱根駅伝にエントリーされたのは今回が初めて。どの区間を任されるのか注目が集まる。 全体2位は27分44秒48をマークした中央大学の吉居駿恭(3年、仙台育英)、3位は27分46秒60で中央大学の本間颯(2年、埼玉栄)だった。前回の箱根駅伝は直前に体調不良者が相次ぎ、13位と悔しさを味わった中央大。本間は前回の箱根駅伝で7区にエントリーされたが、当日変更で出走はかなわなかった。今年は5000m、10000m、ハーフマラソンのすべてで自己ベストを更新してアピール。全日本大学駅伝では3区を走り、チームの主力に成長した。 全体4位の黒田は5月に出した自己ベストを再び更新する27分49秒60。全体5位には大学限りで陸上競技引退を表明している若林宏樹(4年、洛南)が入った。タイムは27分59秒53。トラック最終レースにして、27分台ランナーの仲間入りを果たした。