KK線緑地化計画のモデルはニューヨークにあり? 銀座を通る高架道路のひみつ。【川辺謙一の「道路の雑学」Vol.3】
交通技術ライター川辺謙一が語る「道路の雑学」。第3回は、来年4月上旬に廃止されることになった銀座の高架道路と、その緑地化計画のモデルに迫る。 【写真】ここが昔は道路だったって本当? 高架跡の変身ぶりがスゴイ!
銀座に新しい憩いの場が生まれる
東京・銀座の風景が、これから大きく変わりそうです。街を横切っていたKK線(東京高速道路)と呼ばれる高架道路が来年4月上旬(本年11月12日発表)に廃止され、緑地化されるからです。 銀座は、歴史がある街であるゆえに建物が密集しており、公園などの無料の休憩スペースが少ないという弱点がありました。KK線が緑地化されれば、銀座に新しい憩いの場ができることになります。 そこで今回は、KK線の概要を紹介するとともに、緑地化計画のモデルの1つとなったニューヨークの「ハイライン」を紹介します。
日本橋の首都高地下化とセット
KK線は、銀座を通る全長2km余の高架道路です。かつて銀座付近を流れていた河川(外堀・汐留川・京橋川の一部)を埋め立てて建設され、1959年に部分開通、1966年に全線開通しました(ここでいう「開通」は「供用開始」のこと)。 この道路は、3つの料金所で首都高速道路(以下、首都高)と直結していますが、首都高の路線ではありません。このため、首都高速道路株式会社とは異なる別の企業(東京高速道路株式会社)が運営しています。 通行料金は無料です。道路の真下にある14棟に分割された賃貸スペース(レストラン街やショッピングモール)で得られた収益を、道路の建設費や維持管理費にあてているからです。 KK線の廃止は、前回紹介した「日本橋での首都高地下化」とセットで進められています。KK線の一部区間の地下では、新しいトンネルを通る道路(首都高の新京橋連絡路)が建設されます。これが完成すると、首都高の都心環状線(C1)の築地川区間と八重洲線(Y)が結ばれ、日本橋付近を通らない新しい都心環状ルートができます。 つまり、新しい都心環状ルートをつくることで、KK線がなくても必要な交通処理ができるようになるので、KK線を廃止することが可能になったのです。