コクヨの「キャンパスノート」に隠された「ある工夫」
あのロングセラー商品はどのようにして生まれ、どのようにヒットをつづけてきたのか。その道のりをたどる「ロングセラー物語」。今回は、発売から49年となる、コクヨの「キャンパスノート」にスポットを当てる。現在のブランド担当者が商品の歴史と今を語る。 絵馬多美子さん えま・たみこ/'83年、大阪府生まれ。'06年にコクヨ入社。入社4年目から主にノートの商品企画に携わり、「キャンパスノート ドット入り罫線」「大人キャンパス」などを手掛ける。
地味な事務ノートが、カラフルな表紙のノートへ
かつてノートは、グレーの表紙で事務的なものが主流でした。'75年に発売した「キャンパスノート」が画期的だったのは、学生の使用を意識して、明るいオレンジ色と水色というカラフルな表紙にしたことです。 表紙の色によって幅7mmのA罫と幅6mmのB罫が見分けられることも新鮮に映り、支持をいただくことができたようです。 ただ、その後も継続的に使っていただけたのには、理由があったと思っています。 例えば、発売当初から紙には徹底してこだわっていました。鉛筆、ボールペンなど、いろんな筆記具と相性のいいものを、とオリジナル原紙を開発しているんです。 また、罫線の濃さにも強いこだわりがありました。罫線は濃過ぎても薄過ぎてもいけないということで、「キャンパスノート」は独自の色を決めていて、グレーの指定色があるんです。 おかげで、「キャンパスノート」でなければ、と何十年もリピートして使ってくださっている方がたくさんいらっしゃいます。 これまで「キャンパスノート」は大きなリニューアルを4回、行っています。 '83年の2代目では、4代目まで使われるロゴマークが生まれました。「キャンパスノート」という名称はついているものの、初代は表紙に「Campus」とアルファベットで普通に書かれていただけでした。 2代目からはロゴが生まれ、さらに中を見なくても罫の内容がわかるよう表紙に大きくA罫、B罫の英文字と罫線イメージを表示しました。デザインだけでなく、機能面でも表紙を活用したことが意味を持ち、2代目は一気に普及しました。 その意味では、確固たるブランドになったのが、2代目だと思います。ただ、たくさん売れただけに模倣品も多く出てきてしまい、'91年の3代目はアルファベットのロゴを縦に配置するという、かなり思い切ったデザインを採用しました。 '00年の4代目は、ノートの低価格化が進む中、あえて付加価値の高いノートに舵を切ります。背のクロス部分を強化するために、特殊な加工をした破れにくい新しいクロスを開発しました。