「3日間で小説を作り上げるからこその熱量がある」 ー3拠点同時開催する“NovelJam2024”の新たな挑戦
NovelJam(ノベルジャム)とは何か
著者、編集者、そしてデザイナーが一丸となって3日間で1冊の本を完成させる「NovelJam2024」が、2024年11月2日から3日間、東京・新潟・沖縄 の3拠点で開催される。創作の可能性を広げ、出版業界に新たな視点をもたらす NovelJam2024 の主催者の一人である波野發作氏に話を聞いた。 ―― まず、NovelJam について詳しく教えてください。 波野發作氏(以下、波野):NovelJamは、端的に言うと、著者と編集者が二人三脚でダッシュして、3日間で1冊の本を発売するところまでやってしまおうという文芸ハッカソンです。基本的には著者2名に対して編集者1名という、スリーマンセル(3人一組のチーム)のパターンを取ることが多いですね。ここにデザイナーが加わって、3種類の役割を束ねたチームとなることもあります。 このイベントの特徴は、企画立案から執筆、編集、そして出版までの全工程を3日間という短期間で体験できることです。通常の出版プロセスでは数ヶ月から1年以上かかることもありますが、NovelJamではそのエッセンスを凝縮して体験できるんです。 ―― 3日間という短い期間で本を作るというのは、かなりチャレンジングに思えます。 波野:確かに3日間という時間だけを聞けば短いと思うんですけど、本質的な部分だけをタイムラグなしで抽出してデフォルメをして揃えた場合、3日間だとしても、実際に出版する本のエッセンスの部分に関しては、実はどの本もそんなに変わらないと思います。 例えば、NovelJamでは基本的に1万字の小説を書くことを目標にしています。これは約40ページくらいの本になります。通常の出版プロセスでは、他の仕事や試行錯誤、企画の検討、下調べなどの時間がたっぷりあります。でも、これらの時間を除けば、実は3日間くらいしか我々は本質的な作業に時間を使えていないんじゃないかという仮説に基づいているんです。 ―― 短期間での創作にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 波野:最大のメリットは、創作の熱量をそのまま維持できることですね。気が付いた時には終わってるというように熱を保てるんです。いわゆる締め切り直前の缶詰状態を全員で一気にスタートでやりましょうというようなところがあります。 また、この短期集中型の創作では、参加者同士の化学反応も期待できます。著者、編集者、デザイナーがそれぞれの得意分野を活かしつつ、お互いの意見を採り入れながら作品を作り上げていくんです。例えば、著者が思いもよらなかった方向性を編集者が提案したり、デザイナーのアイデアによって作品の魅力が何倍にも膨らんだりすることがあります。