JALのカスハラ対策 知っておくべき「2.5人称の視点」とは
他社と連携しながら、社会的認知の向上に努めたい
――現在直面されている課題や、今後取り組んでいきたいことはありますか。 田中:まずは現在の取り組みを継続していきたいと考えています。お客さまサポート室には客室乗務員出身の社員など、現場をよく知るメンバーも在籍しています。さまざまなバックグラウンドを持った社員が力を合わせて取り組んでいきたいですね。 一方で、社内だけで取り組みを行っても、多くのお客さまにご理解いただけない現状もあります。適切なタイミングで企業としての対応方針を社外にも示し、お客さまにカスタマーハラスメントの定義をご理解、ご認識いただいて、さらに防止していくことが重要です。そのために業界団体や同業他社などと連携しながら、準備を進めていきたいですね。 安部:カスタマーハラスメントの領域では、まだ法的な後ろ盾がないため苦慮している部分もあります。だからこそ社内で基準を作ったのですが、整備が進めば、社会的にもカスタマーハラスメントに対する認知が広がります。昨今ではメディアで取り上げられることも増え、旅館業界など他業界で法整備が進むなど、社会の動きも加速しています。そうした動きに期待しつつ、我々も感度を上げて、動きがあった際は連動して規程などに反映していきたいですね。 田中:法的な後ろ盾ができると我々としても心のゆとりを持ってより良いサービスにつなげられます。社会の認知が上がって発生率自体が減るとありがたいですね。 ――最後に、これからカスタマーハラスメント対策に取り組もうとしている企業に向けて、メッセージをお願いします。 土田:まずはサービスや商品の品質を上げることが第一です。お客さまに満足していただくことでクレーム自体を減らすことは、あらゆる業種で重要だと考えています。そのうえで、社内でカスタマーハラスメント対策の体制を構築し、社員が安心してサービスにあたれるようにしていけると良いのではないでしょうか。 田中:私たちもまだ学びながら、試行錯誤をして取り組んでいます。当社の取り組みが何かの参考になれば非常にうれしいですが、他の業種の企業も含めて一緒に頑張っていきたいという気持ちが強いです。カスタマーハラスメント対策に取り組む企業が増えることで、世の中の認知が広がり、好循環が生まれていくと思いますので、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。