「年収600万円」で妻と娘が2人。変動型住宅ローン「3500万円」を35年で借りたばかりです。「金利が上がる」とニュースで見たのですが、すぐに返済額が増えるのでしょうか…?
住宅ローンを利用する人のうち、約7割の人が変動型の金利タイプを選んでおり、固定型に比べて根強い人気があります。9月に多くの金融機関で基準金利が引き上げられると報道されましたが、変動型を選択した人にとって、基準金利の引き上げは返済額に直結するため、気になっている人も多いのではないでしょうか。 本記事では、基準金利の引き上げに伴い、返済額がどのように変化するかについて解説します。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説
変動型住宅ローンの基準金利が上昇した背景
銀行の大手5行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行)は、9月30日に変動型住宅ローンの基準金利を引き上げました。各行の具体的な引き上げ幅は共通しており、0.15%となっています。 基準金利を引き上げるきっかけとなったのは、日銀が7月に政策金利を上げたことに伴い、金融機関が設定する短期プライムレートを引き上げたことです。変動型住宅ローンの基準金利は、短期プライムレートに連動して設定されるため、今回の基準金利引き上げにつながりました。
金利上昇に伴う具体的な返済額のシミュレーション
金利が0.15%上がると、返済額にどの程度影響があるのでしょうか。今回はりそな銀行を例に、次の条件で試算を行いました。なお、適用金利は最優遇金利で計算しています。 ・基準金利引き上げ前の適用金利:0.34% ・基準金利引き上げ後の適用金利:0.49% ・借入額:3500万円 ・返済期間:35年 ・ボーナス払い:なし 試算すると、適用金利0.34%の場合、返済額は月に8万8401円に対して、基準金利0.49%の場合、月に9万700円となりました。引き上げ前と後で比較すると、返済額は約2300円上がります。 ・基準金利引き上げ前の返済額:8万8401円 ・基準金利引き上げ後の返済額:9万700円 ・差額:2299円
基準金利が上昇してもすぐに返済額が増えない場合もある
前記のシミュレーションでは、返済額が約2300円増える計算になりましたが、現在借り入れのある人はすぐに返済額が増える、というわけではない場合もあります。その理由は、金融機関が「返済額5年ごと見直しルール」や「返済見直し125%ルール」といったルールを設定しているケースがあるためです。それぞれの内容は次の通りです。 ■返済額5年ごと見直しルール 変動型住宅ローンの適用金利は、多くの場合、4月と10月のように半年に1度見直されますが、その金利を反映した「返済額」に見直すのは5年に1度とするルールです。 ■返済見直し125%ルール 返済額を見直すときに、見直し前の返済額の125%を上限に増額する、というルールです。つまり、以前の返済額の125%を超える返済額に設定されることはない、ということです。一方で金利が低下する場合には、この125%ルールは適用されず、下限を定めずに返済額が減額されます。 これらのルールによって、月々の返済額の激変はある程度避けられています。ただし、注意すべき点として、激変は避けられたとしても、返済額の内訳として、適用金利が上がった分だけ利息分の支払いが増え、元金の返済額は減っています。 返済総額が増えることに加えて、予定返済回数中に完済できない場合には、最終支払時に加算される可能性があります。計画的に繰り上げ返済を行うなどの対応を検討しましょう。