不登校になりゲームにのめり込む息子「大切な居場所」依存に悩む親の模索 #こどもをまもる
不登校の小中学生が急増している。2021年度に病気や経済的理由などを除き、30日以上欠席した児童生徒は24万4940人。前年度より約25%増え、過去最多を記録した。不登校の子どもの保護者が抱える悩みの一つにゲーム依存がある。ゲームに熱中し、時間のコントロールができなくなったり、部屋に閉じこもったりする。一方で、ゲームは子どもたちの大切な居場所にもなっている。保護者や周囲はどう向き合ったらいいのか。保護者や親の会、依存症専門の公認心理師らに取材した。(文・写真:ジャーナリスト・国分瑠衣子/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
小4で不登校に…学年上がるにつれゲーム時間増える
関西地方に住む中学2年生の男子、吉野遼さん(仮名)は早起きだ。朝5時に起き、7時の朝食まで液晶画面に向かう。ご飯は3食しっかり食べ、健康状態も問題ない。朝食後は再びリビングのソファで画面を見始める。だが、学校には通っていない。 じつは遼さんが見つめているのはゲームや動画の画面だ。母親の貴子さん(仮名・40代)が言う。 「昼夜逆転はしていません。家族で会話もします。ただ遼は、起きている時はトイレと食事とYouTubeと読書以外は、ほとんどゲームです」
遼さんがはまっているゲームは、オンライン上のアクションRPG(ロールプレイングゲーム)「原神(げんしん)」やオンラインバトルゲーム「#コンパス」。課金はお小遣いの範囲内で多いわけではないという。遼さんは部屋に引きこもってはいない。一日の大半をリビングで過ごし、母親の貴子さんと話もする。貴子さんは遼さんに学校へ行くことを強要はしない。 遼さんが学校に行かなくなったのは小学4年生の秋。ある日突然「休みたい」と、学校を休んだ。次の日は登校したが、またすぐに休んだ。 「最初は6時間授業が増えて疲れているのかな?と思いました。友達とのトラブルもあったと聞きましたが、深刻に考えていませんでした」 その後、不登校の日が積み重なっていった。朝「学校に行ったら?」と強く言った日もあるが、遼さんが行くことはなかった。担任の先生やスクールカウンセラーに相談もしたが、変化はなかった。 遼さんの不登校はゲームから始まったわけではない。4年生の時は科学館や買い物に行くなど外出も多かった。だが、学年が上がるにつれ、ゲーム時間が増えた。 昨年春、中学進学のタイミングで、不登校の子どもたちが特別なカリキュラムで学べる「不登校特例校」がある地域に引っ越した。遼さんは公立中学に在籍しながら、週1日1時間だけ特例校に通うことにしたが、同年冬にはまた通う気力が湧かなくなり、今は休んでいる。