「理想は90年代のマイクロソフト」…経済評論家・山崎元さんが息子に残した「株式で稼ぐ働き方」
理想の会社は「90年代のマイクロソフト」
(3)報酬の大きな部分を自社株ないし自社株のストックオプションで支払ってくれる会社で働く 創業期のベンチャー企業ではなくとも、成長期にある企業では、社員に人件費として支払うキャッシュを節約したい。このため、社員に対して、「給料(ベース・サラリー)+ボーナス+ストックオプション」のような形で、自社株に絡む報酬を支払う場合がある。 うまくいくと、会社はキャッシュの流出を抑えられて、従業員は株価の上昇から経済的に潤うような「給料はウォール街が払ってくれる」と言えるような好循環が生まれる(この種のプランを用意している会社は外資系企業に多い)。 理想的な就職先は、例えば「1990年代のマイクロソフト」のような会社だ。私の妹(11歳下である)は、1992年に兄の助言に従い同社に入社して約10年勤めたが、10年目には、一般的な勤労者の所得程度の暮らしが運用益で可能な程度の資産をストックオプションで持っていた。 彼女の同期たちには、その時期に彼女の2倍以上の価値のオプションを持っている者もいたという。 いわゆる「FIRE(経済的自立と早期リタイア)」が可能な資産を30代の前半で持っていたことになる。ちなみに、妹はその後に「守りに入る」ことは一切なかった。あれこれの経緯を経て、現在は独立して小さな会社を持っていて、経済的には兄よりもずっと裕福な暮らしをしている。 現実的には、当時のマイクロソフト社のような絶好の条件の会社を見つけることは難しいかもしれないが、堅実な業績を持っている会社が、自社株ないし自社株のストックオプションで報酬をくれる場合には、有利な報酬になる可能性が大きい。 就職する企業は成長期のベンチャー企業でなくてもいい。「爆発力」は欠けるかもしれないが、それでも有利な場合が多い。 こうした就職の場合、自社株ないし自社株のストックオプションの付与に関しては、制度化されていたり、入社時の契約に含まれていたりするので、権利の確保が明確である場合が多く、交渉の手間が省けて好都合だ。条件をよく調べ、可能なら交渉して入社せよ。