《りんご、柿、栗、梨、ぶどう》秋の味覚を長く楽しむ正しい保存方法を野菜ソムリエプロが伝授
“食欲の秋”と言われて、りんごや柿、栗、梨、ぶどうなど色とりどりのフルーツを思い浮かべる人も多いだろう。それぞれに追熟するもの、しないものがあり、保存のコツも異なると話すのは、野菜ソムリエプロの福島玲子さん。そこで、福島さんに秋に旬を迎える果物の保存のコツを教えてもらった。 【写真】りんごや柿など秋の果物。ほか、写真とともに、おいしさを保つ保存方法を紹介
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追熟するりんご・柿・栗のベストな保存法
りんご、柿、栗は追熟する果物なので、よりおいしいタイミングで食べるのがいいでしょう。また、栗は甘みが増すと言われる保存方法もあります。それぞれのベストな保存方法を知っておきましょう。 ◆カットりんごはレモン水や砂糖水に漬けても◎ りんごを丸ごと保存するときは冷暗所に常温保存しましょう。フルーツキャップやネットをつけたままでもよいですが、表面がかたく傷みにくい果物なので外して保存してもかまいません。2週間~1か月程度保存できます。 りんごは追熟するので、ビニール袋などに密閉しておけば、自身から出るエチレンガスで熟すスピードが早まります。逆に、熟すのを遅らせたいときは袋に入れたままにしないようにしてください。 カットしたりんごは変色を防ぐために塩水につけるのが定番ですが、レモン水や砂糖水でもOKです。塩水につけるのは、りんごの表面が空気に触れて酸化するのを防ぐのが目的なので、レモン水や砂糖水でも同じことが可能です。レモン水ならほのかにさっぱりとした風味を味わえますし、スイーツに使うときは砂糖水がおすすめです。 ◆柿はヘタ側を下にして保存するのがポイント 柿は、時間が経つと追熟によって甘くやわらかな食感になります。涼しい時期であれば冷暗所に置いてもいいですし、野菜室で保存してもよいです。柿は常温で保存すると熟成が進んで5日程度でやわらかくなります。 りんごと同じくエチレンガスが発生するので、袋に入れて保存すれば追熟が早まります。逆に、長く保存したいときは水分を含ませたティッシュやキッチンペーパーをヘタのくぼみにつけて、ヘタ側を下にして置きましょう。 エチレンガスはへたから出るので、こうして蓋をすることで蒸散作用を弱めることができます。さらにラップでくるめば、よりエチレンガスの影響を受けにくくなるので、長いと1か月ほど保存することができます。 ◆栗の保存はチルド室がおすすめの理由 栗は常温で置くと時間が経つにつれ、水分が減って乾燥し、実がパサパサになったりかたくなったりしやすい果物です。栗を手に入れたときは、必ず冷蔵庫で保存しましょう。 冷蔵保存するときは、乾燥を防ぐためにポリ袋に入れてから冷蔵庫のチルド室に置くのがベストです。皮が濡れているとカビが発生することもあるので、表面の水気を必ず拭き取ってください。冷蔵保存で1か月程度持ちます。 寒さを好む栗はチルド室に置いて低温保存すると、追熟してでんぷんが分解し甘い糖に変える働きを持つアミラーゼという酵素が活発に働くため、甘みが増します。チルド室で1週間ほど寝かせてから、甘い栗を味わいましょう。