給食も原因?小2の夏から息子が不登校。学校に「すみません」と言ってしまう理由
つい叱ってしまう親の葛藤
そのころ、池添さんの提案でWISC(ウィスク=WISC-IV知能検査)を受けさせた。子どもの得意・不得意などの発達のバランスを知るためのもので、ワーキングメモリや理解する速度など、どんな取り組みが得意か、もしくは苦手かを知ることができる検査のひとつだ。それを知ることで、子ども支援に繋げることができる。教育や支援の現場でよく使われるそうだ。 発達検査で特性は出なかったジュンヤくんだったが、WISCでは同じことを繰り返す作業が苦手との結果が現れた。同じ漢字を複数書く漢字ドリルが苦手なことなど、サクラさんにとって腑に落ちることがたくさんあった。そうやってわが子への理解は進んだものの、不登校の子どもに寄り添うサクラさんの葛藤は続いた。 プール授業の途中で帰ってきたことを知れば、つい叱ってしまった。学校に迷惑かけてしまってすまない、親の責任だと自分を責める気持ちが子どもに向いた。休みたいと言えば休ませてあげたらいいとわかっているのに、休みが長引けばイライラしてきた。 「怒ってしまうたび、そこには息子なりに理由があっり、困りごとがあったんだろうと思うのですが、先生から何回も電話がかかってくると、迷惑かけたと落ち込むし、やっぱり世間体じゃないけど、親として恥ずかしいという思いもありました」 ――怒らんといてあげて。あのな、怒っても何の解決にもならんよ。子どもはな、理解して、認めて、受け止めてあげなあかんのや―― 池添さんの言葉を聞くたびに反省した。サクラさんは「お守りみたいに持っておきたい言葉です。日常を生きていると、ついつい忘れますよね。子どもに携わる仕事なので、他人の子どもには冷静に対処できるし、向き合えるけど、こと自分の子どもに対しては難しい」と目を伏せる。他人の子どもにかかわる職業は、世の中で「先生」と呼ばれることが多い。実は自分の子育ては難しいのかもしれない。 そうやって葛藤するサクラさんのもうひとつの悩みのタネ。それは、ほかならぬ実の母親。ジュンヤくんの「ばあば」だった。 後編【祖母やママ友に否定されても…7年間信じ続けて見えた、不登校の息子の大きな変化】では「学校に行くのが当たり前」という価値観のじいじ、ばあば世代からの声に葛藤するサクラさんについて。サクラさんを支えた池添さんの言葉とは。
島沢 優子(ジャーナリスト)