世界ヒットする松本人志「ドキュメンタル」の狙い 吉本・岡本社長がカンヌで示した“迷いなき決断”
「松本人志の才能あっての作品のヒット。僕らは何の迷いもなく、ますます広がっていければいいと思っています」。ダウンタウン・松本人志が企画・プロデュースした「ドキュメンタル」が世界ヒットを飛ばしていることを受けて、吉本興業の岡本昭彦社長が10月20日、フランス・カンヌ現地で語った言葉です。なぜ成功しているのでしょうか、その理由を解説します。 【写真】Amazon MGMスタジオと共にキーノートを飾った吉本興業の岡本昭彦社長 ■世界で500エピソード以上 岡本社長がそもそも日本からはるばる遠いカンヌまで足を運んだのは、吉本興業が扱う番組コンテンツを本格的に海外へ売り込み、世界110カ国、1万人以上のメディア関係者が参加する世界最大級の映像見本市「MIPCOM」でキーノートスピーチをするためでした。国際番組のビジネス業界内では唐突な話ではなく、むしろ、“今でしょ”というタイミングです。
というのも、ここのところ、カンヌのこの業界見本市では松本人志が生んだ密室サバイバル笑わせ合いバラエティ番組「ドキュメンタル」が「スター級のヒット番組」として、もてはやされているからです。 Amazonのプライム・ビデオで2016年に配信が開始されて以降、海外では「LOL:Last One Laughing」のタイトルで話題を集め、番組コンセプトをそのままに、お国柄に合わせて作られた、もしくは作られる各国版の国と地域数は今や25以上。日本と同様、メキシコなどシーズンが続く国も多数あり、話数は500エピソード近くに上ります。間違いなく世界ヒットと呼べる実績です。
調査結果からも明らかです。イギリスのリサーチ会社K7メディアの2023年集計調査によると、「フォーマット・セールス」と呼ぶ海外リメイクが可能な351の番組タイトルの中で配信コンテンツの展開国としては世界ナンバーワンであることがわかっています。上席アナリストのミシェル・リン氏が「日本発の『LOL(ドキュメンタル)』はこれまでイタリア、フランス、ドイツなどに広がり、次々と新たなローカル版が誕生しています。今、最も成功している番組フォーマットの1つ」と、太鼓判を押すほど。