なぜセレッソ大阪は38歳の大久保嘉人を獲得したのか?
J2の東京ヴェルディを退団し、プロの第一歩を踏み出したセレッソ大阪へ15年ぶりに復帰する元日本代表FW大久保嘉人(38)が、移籍決定から一夜明けた10日に自身のインスタグラム(@yoshito13)を更新。再び古巣でプレーできる喜びと、21シーズン目の戦いにかける熱き思いを綴った。 大久保は長崎県の強豪・国見高から2001年にセレッソへ加入。マジョルカへの期限付き移籍をはさんで2007年にヴィッセル神戸へ移籍し、その後にヴォルフスブルク、神戸、川崎フロンターレ、FC東京、川崎、ジュビロ磐田、ヴェルディと渡り歩いてきたプロ人生を、もしも叶うならばセレッソで終えたいと望むことがあったとインスタグラムへの投稿のなかで明かしている。 「いろいろなチームにお世話になりましたが、ふとした時に『最後はセレッソに戻りたいな』と思うことがあっても、それに現実味はなく、夢を語っているような感覚でした。そういう意味で、今回の移籍を嬉しく思う反面、自分のサッカー人生がついにここまで来たんだなと感じています」(原文ママ) 大久保が綴った「ついにここまで」とは、現役引退が近づいている状況を指す。新型コロナウイルス禍による長期中断中にふくらはぎを痛め、復帰が8月中旬までずれ込んだ大久保は最終的に19試合の出場にとどまり、Jリーグの舞台では初めて無得点でシーズンを終えている。 自身への不甲斐なさを募らせてきた日々で、1年契約を結んでいたヴェルディで現役を終えるべきなのかと考えるようになった。 情熱を失いかけていた大久保を奮起させたのは、昨シーズン限りで現役を引退した川崎のレジェンド、MF中村憲剛からかかってきた一本の電話だった。 前人未踏の3年連続得点王を獲得した2013-15シーズンに、何度もホットラインを開通させた盟友から引退を告げられたときに、まだ燃え尽きていない自分に気がついたのか。昨年末に等々力陸上競技場で開催された、中村の引退セレモニーに駆けつけた大久保はこんな言葉を残している。 「自分はあと少し現役でやりたいと思っています」 ヴェルディとの契約を延長せず、新天地を探し始めていたなかで、大久保をして「現実味はなく」と言わしめていたセレッソからのオファーが届いた。相思相愛での復帰が決まった9日には、セレッソの公式ホームページ上で「気持ちを理解してくれたクラブに感謝しています」と綴っている。