全国高校サッカー選手権で見るべき5人の逸材
新春のスポーツ界を彩る風物詩のひとつ、第99回全国高校サッカー選手権大会は2日に首都圏の8会場で2回戦の16試合が行われ、Jクラブ内定選手を4人も擁する昌平(埼玉)、前回大会準優勝の青森山田(青森)など16校が3日の3回戦進出を決めた。 新型コロナウイルスの影響で観客数が大幅に制限されている状況下で、11日の決勝戦の舞台となる埼玉スタジアムで歓喜の雄叫びをあげる瞬間を夢見て全国から集い、大晦日から熱き戦いを繰り広げている出場48校のなかから、5人の次世代ヒーロー候補をピックアップした。 【須藤直輝】[MF/埼玉・昌平3年/169cm・63kg] 埼玉県勢として40年ぶりの全国制覇を目指す技巧派軍団を束ねるキャプテンは、大晦日の1回戦で図らずも涙腺を決壊させている。高川学園(山口)に奪われた2点のリードを、アディショナルタイムを含めた後半のラスト5分間で、自らの連続アシストで追いついた直後だった。 「あれだけいい試合をしてくれた高川学園さんのためにも、僕たちは勝たないといけない」 9人目までもつれ込んだPK戦を制した直後から、鹿島アントラーズへの入団が内定している、ドリブルを武器とする小柄なテクニシャンの胸中には新たな誓いが刻まれている。京都橘(京都)との2回戦屈指の好カードを2-0で快勝しても、自身のプレーには及第点を与えなかった。 「ゴールできる場面でシュートを打たないとか、外したりしているので、そこは修正していきたい。ドリブルにしても質や、相手を抜くということにもっと、もっとこだわらないといけない」 地元・杉戸町のU-15クラブ、FC LAVIDAと提携し、中高一貫の強化策で急速に台頭してきた新鋭校からは、1年生から「10番」を背負う自身に加えてMF小川優介(鹿島)、FW小見洋太(アルビレックス新潟)、MF柴圭汰(福島ユナイテッド)がプロの門を叩く。有終の美を飾る戴冠へ。いよいよエンジンを全開にして、3日には創成館(長崎)との3回戦(浦和駒場スタジアム)に挑む。 【藤原優大】[DF/青森・青森山田3年/182cm・75kg] 1年生から選手権の舞台に立ち、黒田剛監督から大黒柱になると期待されてきた万能型センターバックは、埼玉スタジアムを「忘れ物を取り返しにいく舞台」と位置づけている。 昨年1月13日の前回大会決勝戦。自身がヘディングで叩き込んだ開始11分の先制点を含めて、前半のうちに2点のリードをゲット。2001年度の国見(長崎)以来、18年ぶりとなる大会連覇が見えかけたなかで、同アディショナルタイム、後半16分、同40分とまさかの3連続失点。静岡学園(静岡)が歓喜する姿を必死に脳裏へ焼きつけながら、リベンジへの思いを募らせた。 「自分がマークを外して失点した場面もあった。あの試合で勝てなかったことが、この1年間における自分の原動力でした。埼玉スタジアムの決勝の舞台に帰り、優勝カップを掲げることだけを考えて、自分に足りないところは何なのかを見極めながら取り組んできました」 身体能力の高さを生かした空中戦だけでなく、対人の強さや鋭い洞察力も生かして地上戦も制し、左右両足から精度の高いフィードも供給する。貪欲に自己を高めてきた過程で浦和レッズへの内定も勝ち取ったキャプテンは、今大会の初陣となった2日の広島皆実(広島)との2回戦で2-0の完封勝利にも貢献。3日には帝京大可児(岐阜)との3回戦(駒沢陸上競技場)に臨む。