ロングスロー論争に終止符?!…青森山田が3大会連続決勝進出!
ロングスローだけに偏った攻撃ではない。豊富なバリエーションのなかにロングスローがある。お家芸としてきたロングスローの是非をめぐって、予期せぬ論争に巻き込まれていた青森山田(青森)が大量5ゴールを奪って矢板中央(栃木)に快勝。3大会連続の決勝進出を果たした。 新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴い、首都圏の1都3県に緊急事態宣言が再発令されたことを受けて、無観客開催となった埼玉スタジアムで9日に行われた第99回全国高校サッカー選手権大会準決勝。自慢の“飛び道具”からゴールが生まれたのは、1点リードで迎えた前半35分だった。 敵陣の右サイドで得たスローイン。右サイドバックの内田陽介(3年)が助走をつけて、勢いよく放り込んだ一投はニアサイドにまで到達。ジャンプしたDF藤原優大(3年)が頭で後ろへすらせたボールが矢板中央のDF島崎勝也(2年)の左足に当たり、コースを変えてゴールに転がり込んだ。 「前半に2得点できたことがすごく大きかった。ひとつは流れのなかから、もうひとつはリスタートから上手くゴールできたことで、青森山田が意図する戦い方ができたと思っています」 守っては矢板中央を零封した90分間に、26年目の指揮を執る黒田剛監督(50)も及第点を与えた。2列目から果敢に飛び出し、利き足とは逆の左足で前半16分の先制点を奪ったMF安斎颯馬(3年)が後半開始早々に叩き込んだ3点目も、左サイドから内田が投じたロングスローが起点となった。 準優勝した前回大会でもロングスローを担った内田は、3日の帝京大可児(岐阜)との3回戦でも藤原の同点ゴールをロングスローからアシスト。逆転弾とリードをさらに広げる一撃も内田の“両腕”から生まれた直後から、SNS上でロングスローの是非論が飛び交い始めた。 言うまでもなく、ロングスローはルールに何ら抵触していない。手を使う意味でフリーキックやコーナーキックよりもコントロールがつき、それでいてオフサイドはない。守る側にとっては飛んでくるボールに勢いがない分だけ、空中戦を制して頭でクリアしても遠くまで弾き返せない。 何よりもいまに始まった攻撃の手段ではないロングスローに対して、反対派は「つまらない」、あるいは「アンチフットボールだ」と感情的な声が多勢を占めた。これに対して賛成派が「何がダメなのか」、あるいは「立派な戦術のひとつだ」と応戦する事態が生まれた。