Pace東京がプレビューを開催。CEOマーク・グリムシャーに聞く、東京・麻布台の新スペースやチームラボへの評価、日本のアート市場活性化のための鍵とは
メガギャラリーPaceが東京に誕生、プレビューを実施
世界的メガギャラリーであるPaceが2024年9⽉、東京の麻布台ヒルズ内に新スペースPace 東京を正式にオープンさせる。3フロアにわたる展示室の内装を手がけるのは、建築家の藤本壮介だ。 9月の正式オープンに先駆け、7⽉6⽇~8⽉17⽇はこの新スペースが特別プレビューとして⼀般公開される。 9~10⽉には開廊記念として、ロサンゼルス拠点のアーティスト、メイシャ・モハメディの新作絵画によるアジア初の個展が、続いて11⽉には、ニューヨーク拠点の彫刻家アーリーン・シェケットの⽇本初の個展が決まっている。 今回は、ペースが共催する麻布台ヒルズ ギャラリー「カルダー:そよぐ、感じる、日本」のプレビューのため5月末に来日したCEOマーク・グリムシャーにインタビューを実施。ペースの東京での新スペースのオープンに至る経緯や展望、所属作家であるチームラボへの思い、これからの日本のアート市場活性化に向けた提言などについて聞いた。
マーク・グリムシャーが語る東京進出
──Paceギャラリーの日本進出は多くの人が待ち望んできました。なぜいまのタイミングで東京にオープンすることに決めたのでしょうか。 これほど時間がかかったとは不思議なくらいです。若手のコレクターやアーティストが増えエネルギーが大きく変化していると思いますし、世界のアート界の誰もが日本に目を向け始めています。複雑な時代の真最中にギャラリーをオープンすることとなりますが、日本が世界のアート界で再び存在感を表す機会になるのではないでしょうか。 ──完成が近づいてきた空間をご覧になり、どのような感想を持ちましたか。 約1年前からオープンの準備を始めていて、私もここ数年でいちばん来日しています。7月のTokyo Gendai (東京現代)に合わせて新しいスペースを披露し、フリーズ・ソウル(Frieze Seoul)直後の9月に正式にオープンする予定です。東京の新しいハブとなる麻布台ヒルズ全体にも大きな期待を寄せており、この素晴らしいプロジェクトに関わることができて、大変嬉しく思います。 ──東京のスペースに関する方針をお聞きかせください。他国のスペースと比べて、展示するアーティストのセレクトや活動内容に東京ならではの方向性はありますか。 新しいギャラリーを立ち上げるとき、まず重要なのは、ギャラリーを運営する人を見つけることです。社長のサマンサ・ルーベルは、次世代のリーダーを見つけるために世界各地を飛び回っていますが、新しいPace ギャラリーの副社長を務める服部今日子さんがまさに国内のアート・コミュニティを統合し、新たなエネルギーを生み出すキーパーソンです。 Paceギャラリーには約120人のアーティストが所属していますが、誰もが日本で展覧会を開催したいと言っています。私たちは国際的評価の高い作家の展覧会を積極的に日本のギャラリーで開催し、日本の皆様に紹介したいと考えています。