「不正が潜在化して温存されていった」日野自動車会見8月2日(全文2)
ヒアリングのタイミングでしか不正の話は出なかったのか
桃田:聞こえてますでしょうか。 司会2:はい。聞こえております。 桃田:ジャーナリスト、桃田と申します。先ほどの質問に少し関連しますが、今年3月の日野側の説明、2018年11月に日野の社員が米国での排ガス認定に関して、同社のやり方に疑問を持ったことが始まりという説明をなさっていますし、今回の委員会はそれがきっかけだと思います。で、この、要するに告発なのか、疑問なのか分かりませんが、これ、ヒアリングの中で、このタイミングでしかこの話は出てこなかったんでしょうか。ヒアリングしていると、もっと前から認識している人たちが、会社に対して何か提言なり、いろんなことを、疑問を呈しようとしたタイミングという話は、ヒアリング等の中から出てこなかったんでしょうか。以上でございます。 榊原:われわれが調査した範囲内では、こういった開発に関わっている人たちから、問題があるということを提言するようなことは、それ以前には認められなかったというふうに考えております。 桃田:それも含めて、上の方にものが言えない体質ということで捉えればいいでしょうか。 榊原:企業風土とか、組織体制とか、そういったことが影響しているのではないかと思います。 桃田:ありがとうございます。
今回の調査で内部告発の形跡は見つかったか
司会2:次のご質問者の方をご指名します。朝日新聞の近藤さま、ご質問をお願いいたします。 朝日新聞:朝日新聞、近藤と申します。よろしくお願いします。 司会2:お願いいたします。 朝日新聞:今の委員長の回答と、少し関わりあるかもしれませんが、私もあらためて2点、教えてください。少なくとも2003年規制以降、幅広く排ガスも燃費も不正に手を染めていたということですけれども、これだけ長きにわたって行われていれば、やはり命を預かる車という商品をつくっているメーカーとして、おかしいんじゃないかっていう従業員の声が上がったり、あるいは内部告発とかがあってもおかしくないかなとは想像するんですが、そこら辺、声が上がったり、是正に動くような形跡は、今回の調査ではなかったんでしょうか。あるいは、そうであれば、その背景について、あらためて教えてください。 で、2点目ですね。親会社トヨタについても先ほど言及ありましたが、こちらもあらためて教えてください。2001年にトヨタが日野を子会社化して、歴代ほぼ全ての社長を送り込んでいますし、皆さんご承知のように、本当トヨタは安全とか品質を最優先にする会社さんですけれども、そのトヨタの傘下において、こういう不正が長きにわたって起こってしまった、そこら辺の分析はできているのか。ないし、トヨタの体質で、管理・監督・ガバナンス面での責任等についてご見解があれば教えてください。以上です。 榊原:2つ目のほうから申し上げますと、親会社であるトヨタの影響というのは、ある意味、親会社がトヨタであることの安心感とか、そういった危機感の薄さということで、間接的な影響があったのかもしれませんけれども、トヨタが親会社として今回の不正行為に直接影響を与えたような事象には接しませんでした。1つ目はなんでしたっけ。 男性:内部告発の。 榊原:内部告発の点についてですけれども、そういった、われわれが調査する以前に内部告発などがあったという形跡は認められませんでした。なぜ、そういうことが起こらなかった、内部告発が起こらなかったのかということは、真因分析のところでも申し上げていますように、上意下達で上にものが言えないっていうふうな組織風土っていうのが大きく影響しているのではないかなというふうに思いますし、それから先ほども申し上げましたように、相互にチェックする体制が希薄であるということから、潜在化していて、不正行為に手を染めているところについては、なかなか自分たちからそういうことを、声を上げられなかったというふうなところが影響しているのではないかというふうに分析しております。 朝日新聞:承知しました。ありがとうございます。 【書き起こし】日野自動車会見8月2日 全文3に続く